リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

プレリュード、フーガ、アレグロ(BWV998)その4

2016年04月12日 15時53分35秒 | 音楽系
さて998のタブの話に戻りますが、件の40年前に書いたのタブを弾いてみましたら、自分で言うのもナンですがなかなかよく書けています。でも調弦が煩わしいことや(ほとんど変ロ短調で書かれたロジー伯のトンボー(ヴァイス)並です)いま一つタイト感が足りないように感じたので一音上のヘ長調版を作ってみました。実はこのヘ長調版は10年くらい前にざっと作っていて、今回指運を見直してみました。ヘ長調版は音が高いのでとても明るく響きます。でも高い音域(14フレットまで)を多用するので音がちょっとキンキンするします。ギターだととても魅力的なポジションですが、リュートだとあまりエレガント響きません。そして何より技術的にとても難しいです。

998はニ長調でもよく演奏されます。最近ではハ長調版も発表されています。ニ長調版はホプキンソン・スミス版と今村泰典版があり出版もされています。ハ長調は、数年前にアメリカのリュート・ソサエティに発表されたものをベースに自分で作り直した版があります。今はヘ長調版をさらっていますが、変ホ長調版、ニ長調版やハ長調版を弾くとなんかホッとします。これらも決して簡単というわけではないのですが、リュートだとやはりこのくらいの音域かなという感じもしています。アクロバティックな左手指運満載のヘ長調版の明るさも捨てがたいですが、この曲の本質とはちょっと離れているような感じもします。何調で弾くかは今のところ流動的です。決めていても本番の1週間前にコロっと変わるかもしれません。

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