院長のへんちき論(豊橋の心療内科より)

毎日、話題が跳びます。テーマは哲学から女性アイドルまで拡散します。たまにはキツいことを言うかもしれません。

法曹はもっと精神医学を学ぶべし

2007-02-07 13:06:03 | Weblog
 精神障害者の刑事免責というのは、病勢が著しく、幻覚妄想に支配されているときに限るものである。

 たとえば、相手に迫害されるという妄想をもち、「防衛的」に相手を害してしまったときには免責される。これを昔から「迫害される迫害者」という。

 検察は、病勢が著しくなくても、精神障害者というだけで不起訴にすることが多い。ある意味で、これは障害者差別である。病勢が落ち着いているときの犯罪は、起訴するべきである。

 きわめて動機が不可解な事件がたまにある。猟奇的な事件もある。酒鬼薔薇事件もそのひとつである。

 わが国には1億人以上の人間がいるのだもの、精神障害でないのに変わった奴は必ずいる。1億件に1、2件くらいは不可解な事件が起きても不思議ではない。しかし、動機が不可解だと弁護人は必ずと言ってよいほど精神鑑定を要求する。

 動機が不可解→精神鑑定というやり方はあまりに安易である。動機が不可解だと、犯人を(病勢の著しい)精神障害者に仕立て上げて、免責させようとの魂胆だろう。

 これは大多数の善良な精神障害者に対して、極めて失礼な態度である。

 このような現状の根幹には、法曹の精神医学への無知がある。無知ゆえに精神鑑定をさせられる精神科医はたまったものではない。

 法曹は精神医学に疎すぎる。知らなさ過ぎる。もっと勉強して欲しい。司法修習生に精神医学を必須科目にさせてはどうか。