院長のへんちき論(豊橋の心療内科より)

毎日、話題が跳びます。テーマは哲学から女性アイドルまで拡散します。たまにはキツいことを言うかもしれません。

バレエの出自

2012-03-01 00:00:03 | 文化
 幼少のころ、近所にバレエ教室があった。垣根から覗いたら、女の子たちが体操のようなことをしていた。バレエというものをまだ知らなかったから、何をしているのだろうかと思った。

 小学校に入って、同級生にピアノやバレエを習っている子たちがいた。ハイカラなことをやっているのだなと思った。

 友人宅で、子どもではなくお父さんがピアノを弾いていたので驚いた。自分の父親とはまったく違う人種がいるのだと知った。

 バレエやピアノを子どもに習わせている家は、少なくともうちよりブルジョアだった。だからか、バレエもピアノも金持ちがやるものだと思っていた。

 ところが先日、テレビでドガの絵画の解説をやっていて、新しいことを知った。ドガはバレリーナの絵で有名だ。

 ドガの時代のバレリーナは貧しい家庭の出身が多いというのだ。今と逆ではないか。

 当時、ヨーロッパではまだ男尊女卑で、女性が手に職をつけて独立するということは、ほとんどなかったらしい。

 そんな中で、バレリーナになることは、女性が自立するための数少ない道の一つだったというのだ。そうだったのか。そのような目で見ると、ドガの絵もまた別様に見えてくる。

 ドガの時代、わが国もそうだった。川端康成の「伊豆の踊り子」は、貧しい出身の旅の踊り子と一高生の淡い恋物語だ。「踊り子」の身分が低かったことは洋の東西を問わなかったのだなと、この齢になって分かった。

 (ドガの踊り子の映像)