院長のへんちき論(豊橋の心療内科より)

毎日、話題が跳びます。テーマは哲学から女性アイドルまで拡散します。たまにはキツいことを言うかもしれません。

病院の「不正請求」の真相

2012-03-22 08:28:41 | 医療
 患者さんは病院の窓口で3割を支払う。残りの7割は、後日「健康保険支払い基金」から病院に支払われる。その際、病院は「支払い基金」にレセプト(診療報酬明細書)を提出して、7割分を請求しなくてはならない。この請求に水増しがあることを「不正請求」という。

 レセプトは病名と薬が一致していなくてはならない。例えば風邪でかかっている人が、便秘になったとする。そこで便秘薬が臨時に処方されることになるが、そのとき、レセプトに便秘という病名を書くのを忘れることが少なくない。

 「支払い基金」側は、「便秘という病名がないのに、便秘の薬が出ている」と支払いを拒否する。そして、このようなケアレスミスを「不正請求」だと怒る。

 今年は何億円「不正請求」が行われたとマスコミは報道するけれども、「不正請求」の内容は、上のようなケアレスミスがほとんどである。マスコミも「支払い基金」も、わざわざ「不正請求」という、まるで犯罪のような名称で呼ぶ。悪意を感じる。

 もっとも、犯罪として不正請求が行われることがないではない。しかし犯罪ならば、便秘の例のように、すぐに指摘できるような形をとらない。