院長のへんちき論(豊橋の心療内科より)

毎日、話題が跳びます。テーマは哲学から女性アイドルまで拡散します。たまにはキツいことを言うかもしれません。

牧野富太郎と「さかなクン」

2013-08-10 04:58:19 | 学術
 日本植物学の父、牧野富太郎と、お魚タレントの「さかなクン」の類似点に気づいている人は多いだろう。

 牧野富太郎は世界的な業績を残しながら、学歴がないために(小学校中退)アカデミズムの本流に入れず、東京帝国大学から博士号を授与されたときには65歳になっていた。

 「さかなクン」も東京水産大学に入れず、キャリアは本道の水産学にはない。彼の驚異的な魚の知識は独学である。それでいて、多くの水産学者、魚類学者と親交がある。これらの学者たちも「さかなクン」の網羅的な魚の知識にはかなわないだろう。

 「さかなクン」の私生活は隠されていて(子供たちに夢を与えるという理由らしい)、年齢は38歳と推測されるが、妻子や家族がどうなっているのか謎である。この辺も、いかにもオタクめいていて面白い。

 多くのタレントが「作られた自我」を演じる。(これをキャラと呼ぶ。)「さかなクン」もむろん「作られた自我」を演じている。だが、タレントと違って、「さかなクン」の「自我」の作り方に痛々しさを感じるのは私だけだろうか?無理をしている感じがあるのだ。

 牧野富太郎はおびただしい数の植物の博物画を残している。「さかなクン」も巧みに魚の絵を描くことはよく知られている。そのため、彼は魚のイラストが得意だ言われるが、とんでもない。彼の魚の絵は、れっきとした博物画である。その詳細なこと、牧野に劣らない。

 「さかなクン」が牧野と違うところは、牧野は植物の食べ方の研究をしなかったが、「さかなクン」は魚料理に通暁しているという点である。私は幼少時、魚の図鑑を見ていて、その魚がどこに棲息してどういう生態かということよりも、美味しいかまずいか、食べられるかそうでないかに大いに興味があったので、「さかなクン」が魚料理に詳しいのは心から理解できるのである。