院長のへんちき論(豊橋の心療内科より)

毎日、話題が跳びます。テーマは哲学から女性アイドルまで拡散します。たまにはキツいことを言うかもしれません。

『カネを積まれても使いたくない日本語』(朝日新書)

2013-08-24 05:07:06 | 読書
 週刊朝日に載っている内舘牧子さんのエッセイが好きで愛読していた。そこには言葉遣いの乱れに関する指摘がときどきあり、まったく同感だと思った。本書はそこから発展させて、現代のヘンな言葉を集大成したものである。



 この欄で私が述べた「語尾上げ言葉」、「語尾延ばし言葉」などは、ヘンな言葉の一部に過ぎす、ほかにもあまたあるヘンな言葉が網羅的に俎上に上がっている。(方言に「語尾延ばし言葉」はないという指摘は鋭い。)

 私がここで述べた「見れる」、「食べれる」は名古屋では標準語だということまで調べてある。さすがに「行ける」を「行けれる」と「ら足し言葉」にするのは名古屋では普通だということまでは書かれていなかったが・・。

 「文献」にも当たっている。必ず出てくる「言葉は生き物だから変化して当然」という意見にも周到に耳を傾けながら、その上で「やっぱり聞き苦しい」と反論している。

 言葉の乱れを指摘する書物はこれまでにもあったが、本書はもっとも「面白く」書かれていると思う。国語学者らの「話し言葉論」と違ってサービス精神がある。「面白さ」とは読書に欠かせないファクターである。

羹(あつもの)に懲りて膾(なます)を吹く

2013-08-24 03:28:18 | 歴史
 先週は戦争に関する報道が多かった。中日新聞の投書欄に、戦争を経験した80歳近い男性の投書が載っていた。曰く「武力は持つべきでない、国際問題は平和外交で解決すべきだ」。年齢を重ねて酸いも甘いも知っているはずの人が、なぜこのような小学生のようなことを考えるのだろうか?武力や経済力という後ろ盾がなければ「平和外交」なぞできないことは、まともな大人なら知っている。

 新聞もなぜかくも幼稚な発言を載せるのだろうか?中日新聞の編集部がまともな大人でないとは考えにくい。世論が軍備増強に走らぬようにバランスをとっているつもりなのだろうか?



 先週、沖縄県・与那国島の町長選挙が行われ、陸上自衛隊誘致賛成派の現職町長が当選した。町長の主張は、過疎地なので陸自が来れば経済が活性化するというものだった。

 反対派の支持者の中には、沖縄本島には基地があったから攻撃されたが、与那国島にはなかったから攻撃されなかったと主張していた人がいた。(だから、なまじ基地があると危ないという論理だ。)これも戦争経験者の意見だった。

 こういうのを「羹に懲りて膾を吹く」という。いつの時代にも想像力がない人が一定の割合でいるのだなぁと嘆息するしかない。