カネボウ化粧品が白斑を生じさせる化粧品を売って袋叩きにあっている。だが、被害者には悪いが、私はカネボウ化粧品のまじめさに驚いている。
化粧品なんて、利用者がきれいになったような気分になりさえすれば、本当にきれいにならなくてもよいのだ。コラーゲンやビタミンCなど毒にも薬にもならないような成分を入れて、利用者に夢を与えていればよい。
コラーゲンやビタミンCなんて生体防御装置としての皮膚からは吸収されず、美容には意味がない。だから、有害でなければそれらしい成分を入れておけば、別に効果がなくてもかまわなかったのだ。
サプリメントと同じで、化粧品は値段が高いほどよく売れる。化粧品メーカーとしては新参のメナード化粧品が美術館まで持っているのは、ブランドが当たって莫大な利益を得たからだ。
化粧品の原価が非常に安いのは、女性団体・地婦連が出している化粧品ブランド「ちふれ」が破格に安いことからも知られている。
どこの化粧品会社も本気で肌が白くなるなんて考えていない。だが、ひとりカネボウ化粧品は違った。同社は本当にメラニン色素に影響を与える成分を化粧品に入れて、今回の不祥事をまねいた。
カネボウ化粧品を攻撃するのは簡単だが、美白を本気で考えての結果だった。けっきょくは大きな失敗だったけれども、同社のまじめさは買ってあげなくてはなるまい。