院長のへんちき論(豊橋の心療内科より)

毎日、話題が跳びます。テーマは哲学から女性アイドルまで拡散します。たまにはキツいことを言うかもしれません。

小説にかんする誤解(2)「赤ひげ」

2017-07-19 12:00:25 | 読書
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「赤ひげ」に「医は仁術」という言葉が出てくる。今では「医は仁術」は、いい意味で使用される。だが「赤ひげ」の本文のなかでは、この言葉は悪い意味で用いられている。

赤ひげ曰く、「人間は風邪ひとつ治せないのに ”医は仁術” なぞと自分で言って、民衆をだます医者が多すぎる」。

もとの意味が正反対になってしまった、これは好例である。


 ※私の俳句(夏)

    母を訪ふ介護ホームの青すだれ

小説にかんする誤解(1)「金色夜叉」

2017-07-19 05:55:53 | 読書
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上の写真は熱海にある「貫一お宮」の銅像である。貫一は下駄をはいている。貫一は本当に下駄をはいていたのだろうか?

「金色夜叉」の本文を読むと、「(貫一の)靴音が去って行った」という記述がある。じつは貫一は熱海では靴をはいていたのだ。つまり、この銅像は大いなる誤解である。

次の岩波文庫の挿絵は、ちゃんと靴をはいている。これが正しいのだ。




※私の俳句(秋)

     法師蝉聴き漱石の「こころ」閉づ