えぬ日和

日々雑記。第二、第四土曜更新を守っているつもり。コラムを書き散らしています。

冬目景「ももんち」けっこう前に読了

2009年06月02日 | 読書
私の知ってるだれかさんにそっくりな女の子のお話です。

:小学館『ももんち』 冬目景(とおめ・けい)作 2009年4月30日

あ、こんな絵もかけたんだ、と発見があると嬉しくなります。
冬目景は、『黒鉄』や『LUNO』など、暗い色調で目の吊った
完璧な無表情を細いペンで丁寧に描いたうえ、
背景も手でしっかり引いた、すこしひっかかりる細い線で
きちんと書き込んでありますが、不思議と息苦しくない
空気感が独特なまんが家です。

『ももんち』は、美大受験の予備校を舞台にした漫画です。
ピンクの表紙で、わずかなエンポスに浮き上がるショートカットの
「垂れ目」の女の子が主人公です。
浪人して一人暮らしを始め、時々恋をして、時々兄姉が遊びに来て、
穏やかに過ごす日々を暖かい目で描いています。
垂れ目の「もも」を見ているだけでも、髪の細さやスカートの
薄い生地のふんわりした広がりのやわらかさが手に伝わるような
絵です。

わずかな生活のメリハリが、カメラを近づけてみると思ったよりも
生彩があるように感じられる時があります。
このまんがは、そうした感性を読者に引き戻してくれる力量があると
思うのです。
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