電線を見上げると燕がとまっていた。
雨の日なのにやけに、燕は高く飛んでいた。
どことなくぎこちない飛び方だった。
燕は直線で飛ぶ。空間を点で結んで飛ぶ。
けれどその燕は、高く飛んで疲れたのか羽を止めると、
今度は落ちるのが怖いのかあわただしく両の羽を
動かして、ひっかかるように電線に止まった。
うす曇の空と同じ、ふわふわとたよりない灰色の羽毛を
つけた仔燕だった。
もう一羽、空の一点から墜落しそうに傾いて、その仔の
頭を踏みそうになりながらどうやら隣にちょんととまる。
紺色がかった黒のはっきりした親燕が、頭をはたくように
するっと飛びぬけて二羽の間にとまった。
その仔はさっき巣立ったばかりで、独り立ちには
まだ親は心配なのかも知れない。
でも羽はしっかりと朝の空気をつかんで舞い上がっていた。
信号が変わる。私は歩き出した。
燕は空へ飛び出していった。
雨の日なのにやけに、燕は高く飛んでいた。
どことなくぎこちない飛び方だった。
燕は直線で飛ぶ。空間を点で結んで飛ぶ。
けれどその燕は、高く飛んで疲れたのか羽を止めると、
今度は落ちるのが怖いのかあわただしく両の羽を
動かして、ひっかかるように電線に止まった。
うす曇の空と同じ、ふわふわとたよりない灰色の羽毛を
つけた仔燕だった。
もう一羽、空の一点から墜落しそうに傾いて、その仔の
頭を踏みそうになりながらどうやら隣にちょんととまる。
紺色がかった黒のはっきりした親燕が、頭をはたくように
するっと飛びぬけて二羽の間にとまった。
その仔はさっき巣立ったばかりで、独り立ちには
まだ親は心配なのかも知れない。
でも羽はしっかりと朝の空気をつかんで舞い上がっていた。
信号が変わる。私は歩き出した。
燕は空へ飛び出していった。