年度末が近くなると、予算の執行状況も見えてくるので、大田区では、最終補正予算で余らせた予算を特定目的基金に積み立てることが、繰り返されています。
今回の補正予算にも、公共施設整備資金積立基金20億円、蒲蒲線(新空港線整備資金)積立基金10億円が計上されています。
合わせて30億円をこのまま積み立てなければ、執行残の半分15億円は次年度予算に繰り越され、半分の15億円は使途の定まらない財政基金に積み立てられることになります。
30億円という何にでも使える区民の財源を公共施設という箱モノはじめインフラと新空港線という公共交通事業にしか使えない財源として確保したということです。
大田区は、コロナで580億円の財源不足を見込んでいます。コロナで不足する財源に充て、区民のために使わないのでしょう。
補正予算への反対討論のために準備した原稿です。
実際の発言とは少し異なります。
第5号議案令和二年度大田区一般会計補正予算(第8次)につきまして、反対の立場から討論いたします。
最終補正予算で余らせた予算を特定目的基金に積み立てることが、繰り返されています。
今回の補正予算にも、公共施設整備資金積立基金20億円、新空港線整備式積立基金10億円が計上されています。
大田区は、執行は適正であり、コロナで中止や延期になった事業や工事契約などによる財源を積み立てたと説明しています。
しかし、合わせて30億円をこのまま積み立てなければ、執行残の半分は次年度予算に繰り越され、半分は使途の定まらない財政基金に積み立てられることになります。
言ってみれば、30億円という何にでも使える区民の財源を、公共施設という箱モノはじめインフラと新空港線という公共交通事業にしか使えない財源として確保したということです。
大田区は、コロナで580億円の財源不足を見込んでいますが、30億円の執行残は、財源不足の解消に充てることもできたはずです。そうすれば、財源不足は580億円から550億円になります。
大田区は羽田空港跡地を購入したときも、今回の新空港線も、公共施設整備も住民福祉と言いますが、果たしてこれらは住民福祉でしょうか。
そうなれば、シェアサイクルも、イベントも住民福祉になるでしょう。
感染予防で中止や延期して生じた執行残は、コロナで廃業や倒産を余儀なくされる区民もいれば、住宅ローンを支払えず、住まいを手放す区民もいます。職を失い何をして生きていくか、どこに住むか、どうやって家族とたべていくか、教育を受けるか悩む区民の姿が大田区には見えないのでしょうか。利便性や快適性より、毎日の当たり前の暮らしを区民に提供するのが住民福祉の責任主体である大田区の責務ではないでしょうか。優先順位が違います。
私は、新空港線は、今、ましてやこのコロナの中、取り組むべき事業だとは思いませんし、公共施設整備に積み立てるより、コロナで悪化している区民生活を守ることを優先すべきだと思います。
しかし、仮に区長が新空港線を何よりも優先的に取り組む事業だとして、執行残を機に前倒しで10億円積み立てるなら、なぜ、2021年度の当初予算にさらに不足の財源を積み立てないのでしょうか。
新空港線に使うための財源はこの10億では足りないのですから、前倒しで積んで、当初予算で、計画通り積み立てるならまだわかります。
そんなに良い事業で多くの区民が望む新空港線なら、その財源10億円積むことを当初予算で区民にアピールすればよいのに、こそこそと最終補正で執行残10億円を積み立て、住民福祉だから必要な財源だは、通用しません。反対です。