先日の一般質問で、大田区の出生率や少子化の動向から試算し、待機児問題が、ここ数年の緊急の課題であること。
そして、現在、大田区では、認証保育所や保育ママなど、国基準より低い基準の保育所などで待機児対策を行っているため、それらに優先し、定員を増やせる認可保育園の定員を緊急一時的に増やすよう要望しました。
そして、現状、国基準で何人定員が増やせるのか質問しましたが、事前通告しているにもかかわらず、答弁せず、いわば、現在の大田区立認可保育所の現状・実態を隠したかたちに終わりました。
それほどに、公表するには都合の悪い数字だったのでしょうか。
そこで、予算特別委員会の質疑時間を使い、実態を明らかにするとともに、今後の大田区の取るべき待機児対策について提案しました。
ちょっと用語説明
旧都基準
東京都ではかつで0歳児の保育室の一人当たり面積基準を5㎡としていた。
昨年の議会で、大田区は、国基準の3.3㎡を採用していると答弁しているが
23区のうち21区、政令市18市のうち7市は国基準より高い基準で運営。
国基準
認可保育園の面積や人員配置、就労形態などを定めた基準。
現在、国や東京都にはこの基準を引き下げようという動きがある。
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先日の一般質問で、
①待機児の問題は、出生率の低下や少子化など時間軸で捕らえなければならず特にここ数年が重要であること
②そこに女性の就労率がかかわってくること
③現在の大田区は、主に、国基準より低い基準の認証保育所や保育ママなどで待機児解消を行っていることから、国基準を守り待機児対策を行うことを優先すること
④そして、保育園だけで待機児対策を行えば幼稚園の経営に大きく影響を及ぼすこと
などをお話しし、今すぐに対策をとらねばならないことを強く訴えました。
今回は、3種類の資料を議員・大田区長副区長以下出席管理職に配布し、その資料を根拠に質問していきました。
お手元一枚目の資料(大田区が3保育園の定員を1名ずつ増やすとした報告)をご覧ください。「小池保育園」「志茂田保育園」「本蒲田保育園」の定員をそれぞれ1名ずつ試行的に増やすという報告です。
定員を増やした後の0歳児一人当たりの面積は、小池4.29㎡。本蒲田4.6㎡となりますが現在大田区が基準としている国基準の3.3㎡を上回っています。さらに志茂田では5.16㎡ですので定員を増やしても旧東京都基準の5㎡さえも上回っていることになります。
そして、この3園について1年もかけて0歳児の定員を増加することで保育面での影響(児童の発育・保育内容)について試行・検討するためのデータ収集を行い、結果を検討して0歳児1人あたりの面積基準について区の考え方をまとめるというのです。大田区には、待機児がここ数年の緊急課題であるという認識がまったく無いことがわかります。
二枚目のA4の区が作成した資料(大田区立保育園ごと年齢別部屋面積と保育定員の一覧表)をご覧下さい。
区立認可保育園である新井宿保育園の0歳児の1人当たりの面積は3.99㎡。その下にあるA4の資料
をご覧ください。私立認可保育園である子どもの家の0歳児1人当たりの面積はこれは計算しないといけないのですが、3.57㎡。今回の定員増による一人当たり面積より狭い面積で既に保育している認可保育園はあるのです。にもかかわらず、児童の発育・保育内容について検証する必要があるのでしょうか。旧都基準より低くなったら検証するというのであれば、これらの都基準より狭い保育園はこれまで全て検証してきたのでしょうか。
■質問①■
改めてお聞きしますが大田区の保育基準は保育面積は国基準、保育士の配置人数は国基準に上乗せする区加算あるということでよろしいですね?
□答弁①□
はい
ということは、大田区の保育基準は、面積は国に準拠し、保育士の人数は国基準を上回る数で保育が行われていることになります。
■質問②■
すると、今回のこの検証とは、国基準では保育に影響があるから大田区で国基準の上乗せ基準をつくるという意味でしょうか。大田区は、既に国基準を採用しているにも関わらず、しかも、今回定員を増やす保育園より0歳児1人当たりの面積が狭い保育園が多くあるにも関わらず1年もかけて何を試行するのでしょうか。
仮に悪影響が出た場合には認証も含め大田区の0歳児の1人当たりの面積を引き上げるのでしょうか。
□答弁②□
動線など検証
同じ大田区のこどもでありながら、区立認可保育園と認証保育所の面積基準を分けていいのでしょうか。しかも面積を引き下げるとこどもへの影響がでると言っている。であれば同じ㎡にすべきです。
今の答弁からもお分かりいただけると思いますが、国基準と言っていながら大田区の保育基準の運用さえできないのが今の大田区なのです。
私は、昨年の秋以降、この問題について、こども家庭部から資料をとりよせ、また、話をうかがってきましたが、非常にあいまいななかで仕事をしているなという感想を持ちました。新設認可保育園は全て国基準で設置しているのかと思うと旧都基準5㎡で運営している保育園もある。私立認可保育園もほとんどが国基準です。対外的には国基準と言いながら、ケースバイケースで使い分けていて明確な根拠や基準が無い。区民から見れば、こんなに不公平で不適切な税金の使い方はありません。
そこで伺います。
■質問③■
国基準で現在保育園に配置されている保育士の人数と保育園の面積で算定すると、0歳児の定員はおおよそ最大何人ぐらい増やのですか?
また、面積は余裕でも職員が足りない園もありますから、保育士を増やしたら増やせる定員は大よそ何人ですか?
□答弁③□
今のままだと40人
保育士を増やせば200人
この数が、個々の保育園の設備面での実態や保育需要の地域差からそのまま定員の増員数とはなりませんが、非常に大きな数です。
大都市の待機児対策として国では、保育基準を緩和して国基準3.3㎡を下回ることが検討されています。しかし大田区の保育定員の設定の実態はどうなっているでしょうか。
区立認可保育園の大森北保育園は0歳児1人当たり8.23㎡。山王5.88。雪谷5.87.仲池上5.93。糀谷7.19。多摩川5.64.など廃止になった旧東京都基準を超える保育園も少なくありません。国基準どころか旧東京都基準も上回る定員設定となっているのです。
■質問④■
そこで質問しますが、同じく、現行職員数と旧都面積基準で保育定員を見直したら、大よそ最大何人の定員増になりますか?
□答弁④□
20人
旧都基準でも余裕がある保育園があることがわかります。
これらの中にはこの4月も待機児が多いと報告のあった調布地区の保育園も含まれているのではないでしょうか。
現在引き下げようとしている国基準3.3㎡、賛否両論、様々な議論がでていますが、大田区の認可保育園では東京都の旧基準5㎡でも定員に余裕のあること、定員を増やすことが可能な実態を、子育て中のご家庭にお話しするとどなたも驚かれるとともに、憤慨しています。こども家庭部は、わずか3人の定員増のために、なぜ1年もかけて試行する必要があるのでしょうか。これは解決の先延ばしでしかありません。待機児問題がここ数年の緊急課題であるという認識が大田区にはまったく無いようです。
多くの子育て家庭は認可保育園への入園を望んでいます。その選択を生かすためにも、また、この4月認可保育園の待機児の数を限りなく少なくするためにも、速やかに施設改修の必要ない保育園については、
■質問⑤■
保育ニーズをみながらひとり当たり面積5㎡以上のところは速やか定員を増やすこと。
3.3㎡以上のところは緊急的暫定的に定員を見直すべきではないでしょうか。そうでなければ、到底、区民の理解は得られないでしょう。
3月10日に配布されたこども家庭部のの資料では、東京都への認可定員変更手続きを3月15日までに行うとしています。定員変更は短期間で行うことができることがわかります。
可能能な保育園においては、速やかに定員を見直し一人でも待機児を減らしてください。
□答弁⑤□
検証しながら
■質問⑥■
一方で、先日、このまま少子化がすすみ、保育園だけで待機児対策を行えば幼稚園に通う子どもの数が著しく減少し経営を圧迫することが予想されます。
保育ニーズの高まりに伴う幼稚園のありかたは放置することなく教育委員会が取り組むべき課題であると考えますが、教育委員会はそうした問題意識をもっていますか?また、どのように取り組んでいくつもりですか?
□答弁⑥□
個々の幼稚園が取り組む
このままの大田区の路線でいけば将来認証保育所や幼稚園がつぶれることがおきる可能性があります。子育て支援は長期的視野にたち行うべきです。
参考資料
大田区保育定員3人増施行の委員会配布資料
大田区立認可保育園部屋ごと面積・定員一覧
大田区私立認可保育園部屋ごと面積・定員一覧
保育施設保育士配置基準(国基準・都基準・区基準・東京都認証・大田区指定保育室)