令和5年度予算が成立しました。
フェアな民主主義 奈須りえは、次の理由から賛成することができませんでした。
予算の利害関係者は、
・生活する区民、
・大田区で働く職員、
・大田区の仕事を請け負う事業者
に大きく分かれると思います。
予算は、
🔵仕事を請け負う事業者には、物価高騰を反映した安心できる予算になったと思いますが、
🔴生活する区民も、働く職員も、物価の高騰で受けるサービス料金が上がり、収入が増える要素の無い可処分所得の減る予算で、
賛成できませんでした。
予算の討論は、奈須りえなどへの発言制限で、たった5分しかできませんでしたので、青字で補足しながらご報告します。
予算委員会において、住民税を減税して物価高騰対策とするよう提案いたしました。
小泉構造改革の地方分権と三位一体改革は、社会保障の責任主体を基礎自治体に変え、
大田区に税源を厚くしましたが、
増税増収分を社会保障に使うのではなく、基金に貯め、
将来の箱モノ開発などインフラ投資に確保する構図になっているのが
わかったからです。
使途の限定した特定目的基金は大田区だけでなく、全国的に増えています。
結果、大田区は、
30年先の蒲蒲線の鉄道まちづくりや
40年先までの公共施設整備や
羽田空港跡地開発など
将来の財政需要のため基金を使って財源を確保しています。
区民は、生きているかさえわからない先の使えるかどうかもわからない箱モノなどに
税金を払わされているということです。
財政の原則、世代間の公平性から考えても問題です。
しかも区は、公共施設の更新等に多額の財源が必要だが、人口減少、少子高齢化進んで将来世代の負担が重くなるから、今から財源を確保しておくという答弁をしています。
人口が減り少子高齢化は歴然としていたのに、
大田区は、その過剰なインフラを漫然と更新しただけでなく、
大規模化し、学校施設、大森西、西蒲田の複合化で他施設も合わせて建て替え、
せせらぎ館と体育施設など新たな施設を作り、
蒲蒲線のまちづくりで、さらに駅前広場開発などを計画しています。
過剰なインフラ確保のためにどう財源を確保するかではなく、
区民生活の身の丈にあった施設整備に見直し、
余った財源は減税すべきです。
区は令和5年度予算で区と契約関係にある委託などについて物価の上昇を反映させたそうです。
区民の収入が増える要素も、区民の負担が減るものも、ほぼ皆無ですから、
この予算で、区民は、可処分所得を減らす方向にしかいきません。
予特で明らかにしたように、
物価も
物価に連動しない給与も、
固定資産税評価替え、
人事委員会勧告など、政治が関与している部分も大きいということです。
小泉構造改革前後、2003年度決算と本年度予算見込みで比較すると、
納税義務者数は30%増え、
税収は43%増えています。
この間、増えた労働者の中に、女性や高齢者、外国人などの数が多いことを考えれば、
収入に対する納税額負担がどれだけ重くなったかは、一目瞭然です。
昨年度予算と今年度の予算を比較すると、
納税義務者数は553人減らしていますが、
税収は20億円も増えると見込んでいます。
消費税増税のような目立った増税はなくても、
毎年のように、少しずつ、
税負担が重くなっているのです。
特に東京は物価が日本で一番高い地域で、物価高騰の影響が大きいのは明らかです。
債務負担行為は、今年度予算も450億円になっています。
社会保障の財源はいつも財政が厳しくて足りず、増税議論になりますが、
箱モノや開発財源は、
基金、債務負担行為、公共整備計画に加え各種の個別計画で確保・担保されています。
税金の使い方の優先順位が、区民生活より、箱モノや開発に置かれているのは明らかで、
主権者である区民生活を大切にしていない予算には、賛成することはできません。
このまま放置すれば、区民生活は、さらに低所得化していきます。
税収が減って、生活保護や児童手当など社会保障を維持できなくなると
ベーシックインカムという、
社会保障サービスの最低コスト化の道を選ばざるを得なくなります。
そうなると、区民の力は大きく削がれ、
活力ある社会に戻ることが出来なくなるのではないかと心配です。
岸田総理は、
議会制民主主義に代わる政治システムとして、
新しい資本主義を上げているのだと思います。
新しい資本主義は、主権者の声が届かない仕組みだと思います。
岸田総理はダボス会議で
「監視の無い権力集中をもたらす国家資本主義」は社会変革を行う上では効率的だが、
「チェック機構を欠く国家資本主義」は、国内外で大きな副作用を伴う行動をするリスクが高い
と言っています。
「監視の無い権力集中をもたらす国家資本主義」は社会変革を行う上では効率的だが、
「国という権力を監視する国民がいなければ、社会を効率的に変えられる」
「チェック機構を欠く国家資本主義」は、国内外で大きな副作用を伴う行動をするリスクが高い
「国民の言動をチェックするしくみがなければ、社会的緊張が高まる」
副作用を伴う行動をするは、produces problems such as social tensions
と英訳されていました。
デジタル化による監視は、防犯カメラの人の動きの監視にとどまらず、お金の流れや投票行動まで監視できるようになるでしょう。
すでに電子投票の実証確認も始まっています。
いま、私たちの民主主義は、非常に危ういところにまで来ていると思います。
フェアな民主主義をめざし、区民のみなさまからの信託にこたえ、
公に発言できない区民に変わって、権力を監視して参ります。
以上をもって、予算の反対討論とさせていただきます。