都議選の争点については、こちらの記事と併せてご確認ください。
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議会改革「一言一句シナリオ通りの朗読大会?」【都議選の争点④】
都議会議員選挙に争点が無いと言われています。国政の前哨戦と言われることもあるなど都政の課題が見えにくくなりがちなのが都議会議員選挙ですが、はたして、本当に争点は無いのでしょうか。
東京都、特に23区において保育園の待機児や特別養護老人ホームの待機者の問題が顕著で、その理由は、土地が高い人が多いですが、土地が高ければ固定資産税、人が多ければ住民税が多いわけで理由になりません。財政が厳しいといわれますが、大田区の一般会計規模は10年前に比べ2割=460億円も増えていて、この間、民営化や民間委託による経費削減が行われています。増えた460億円、民営化の経費削減効果はどこに使われたのでしょう。私は、財政が厳しいのではなく優先順位の問題であると考えています。
国の公共事業費が無駄であるとされ減る一方それに連動する形で地方自治体発の大規模な公共事業が行われてきたととらえています。
大田総合体育館は、当初の計画を変更し都や国が建設するような大規模な体育館になりましたが、結果、区民利用は1/2に減り、残りは民間事業者の収益目的の興業になっています。JRと京浜急行蒲田を結ぶ蒲蒲線に大田区は主体的に取り組もうとしていますが、蒲蒲線により便利になるのは大田区民だけでしょうか。空港跡地は都が取得するという覚書が反故にされ大田区が開発しようとしています。
「住民福祉の増進」(地方自治法1条の2)が責務の大田区が、国や東京都が行うべき大規模な公共工事を行えば、結果として、大田区にしかできない社会保障の課題が先送りされるのは当然です。
一方、東京都は、「大都市事務」という名目で23区の固定資産税と法人住民税等総額1兆7000億の約8000億を毎年「明細無く」使っています。大規模な体育館も都内広範囲に影響を及ぼす鉄道事業もまさに「大都市が行うべき事務」ですが、東京都は8000億円をいったい何に使っているのでしょう。
私は、少子化や高齢化、労働人口減少など社会構造の変化に伴い生まれた新たな課題に対応するためには、この東京都との財政配分割合を見直し23区に厚くすべきと考えています。
地方分権と言われ、保育事業が基礎的自治体の事務となりましたが、特に就労希望者が増えた都市部において、固有の財源の約半分を東京都が「明細無く」使っていることが、待機児問題を先送りしてはいないでしょうか。
政令市である横浜市の待機児対策が進んだことが大きく取り上げられましたが、固定資産税法人住民税を都と分け合う23区と違い、総額を使えるからできたという見方もできます。
23区側にとっての争点のひとつは「東京都からの分権」ととらえています。