大田区立小学校の空調設備が故障し、真夏なのに9月にならないと大田区が修理してくれない、とご相談いただきました。
調べてみると、どうも、発注側=大田区の問題ではなく、生産と流通にその原因が見えてきました。
メーカーに在庫がないのです。
これは、空調に限らず、輸入に依存し、生産能力を持たない日本の産業構造の問題ではないでしょうか。
消費が生産をコントロールできず、生産が最適な消費を調整し始めている。
空調に限らない、衣食住エネルギーなど、命にかかわるすべての産品、サービスに関わる深刻な問題だと思いました。
その後、職員の努力もあり、少し修理が早くなったものの、「速やかに修理できた」状況ではありません(まだ修理できていない)。
なぜ、真夏に空調が壊れてもすぐに修理できないのか、日本の政治が作った社会システムは、ここまで来ています。
問題を共有し、一緒に声を上げていきたいと思います。
お問い合わせ | 奈須りえオフィシャルホームページ (nasurie.com)
大田区の物品調達は、130万円以上の工事だと入札で、130万以下は相見積もり。
今回の空調工事は、130万円以下の工事だったので、相見積もりの工事でした。
今回、工事が遅れたのは、受注する施工会社の問題ではなく、メーカーに在庫がないためなのだそうです。
普通に考えれば、消費が増えれば、生産が増えることになり、消費が減れば、生産を減らします。
真夏の暑い時期に、エアコンは「売れるはず」ですから、メーカーは作って売って儲けよう、とするのだと思います。
ところが、作りすぎれば売れ残り、在庫を抱えれば、
・作ったコストも
・保管するコストも
売り上げで回収できず、無駄になります。
作って、売って儲ける
作りすぎて、無駄にし、損する
この消費と生産の関係の中で、消費者と生産者、販売者のせめぎあいが、物の値段を決めていく、という風に勉強したような記憶があります。(かなり単純化していますが、間違ってたら教えてください)
ところが、今回の事例は、消費があっても、2か月も3か月も待たないと、手に入れることができないのです。
Aメーカーに無いなら、別のB、C、D、、、メーカーで買えばいい。
B、C、Dメーカーにとっては、ニッチかもしれませんが、ビジネスチャンスです。
どこかに「在庫は無いのか」?
卸売り、問屋は持っていないのか?
日本型流通システムは、中間業者を経由しながら最終消費者に届くため、中間マージンが発生し、割高、と言った見方がされてきました。
そこから、メーカー直売などの仕組みが生まれ、インターネット販売もあって、こうした中間業者を経由し、消費者に提供されるしくみが姿を消してきました。
こうした、卸、問屋などの中間業者がいたからこそ、ある意味、在庫のある余裕のある物品調達が可能だったとも言えます。
生産者の数も減り、生産者全体が「余裕を持った生産をしなくなっている」=在庫を抱えなくなっているということですし
物流全体が、最低コストで消費者に物品を提供するシステムに変わってきているのではないでしょうか。
売れ残りや、保管のコストを考えれば、注文を受けてから生産する方が確実で、無駄なく儲かります。
極端な状況を想定すれば、一つのメーカーしか作っていないものは、そのメーカーが価格を左右することができるのです。
生産と消費の関係だけで、経済を論ずる時代が変わってきていると思います。
消費者としての私たちの力も、システムによって小さくされてきているということだと思います。