民主主義の良いところは、多様な意見の中から一番いい意見、一番問題の少ない意見を選べるところにあると思います。
ところが、議会の中にいると、「多数派の意見が選ばれやすい仕組みになっていると感じる」ことが、少なくありません。
大田区議会が、会派の人数に応じ、議案の発言時間を配分し始めたところにも、多数意見を尊重し、少数意見を軽視が、表れていると思います。
そもそも、議案の審議は、委員会に付託されますが、会派の人数が多ければ、すべての委員会で会派の意見を委員が発言できますが、少数会派は、すべての委員会に所属できませんから、議論に参加することもできません。
結果、多数会派だけで議論した結果を本会議場に持ち込む議案が、多くなっています。
大田区議会において、前期、それも最後の年度に、委員会所属委員の定数を10人から9人に減らしています。
通常10人のところ、都議選や亡くなられた議員がいらして、議員が減ったことを理由に、昨年の臨時議会で、委員会の定数を変えたからです。
会期が変われば、議員が増えることはほぼ明らかにもかかわらず、議員が減ったから「均衡のとれるよう配置する必要がある」という理由で9人に削減したのです。
委員会の議論に均衡と言う言葉を持ち出したことに、違和感を感じました。
均衡と言う言葉は、力関係などで使う言葉で、仮に、様々な意見の均衡をとるという意味なら、すべての委員会に、少数会派も所属できるよう、委員会定数や、所属の在り方を変えればよいと思います。
地方自治法が改正され、議員は複数の委員会に所属できるようになっているからです。
今回、会期が変わり、50人になったことで、委員会人数を9人から10人に増やす議案を会派の代表が提案したので、あらためて、委員会の定数と議論の在り方について考えました。
以下、定数変更の際の討論を掲載します。
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議員提出第6号議案
「大田区議会委員会条例の一部を改正する条例」について反対の立場から討論いたします。
この議案は、前期最終年度が始まる昨年の臨時会において、
議員定数が45名になったことから
「均衡のとれるよう配置する必要があるという理由」で
9人に削減した委員会定数を10人に戻すための議案です。
定数を9人にした際に「今回、定数を変えるのはなぜでしょうか」という質疑に、
「均衡のとれるよう配置する必要があると考える」と答弁しています。
今回あらためて、
「定数を10名に戻すことは前回と同じ考え方か」
「再度、定数の減があった場合には、前回同様、均衡をはかるために定数の減が行われるか」
「議案提出者が意図する均衡をはかるというのは、何の、あるいは、何と何の均衡を図るということか」
「均衡をはかることによる議会での民主的な議論におけるメリットは何か。」
「定数の均衡をはからなければ、議会に及ぼす支障や影響とは何か」
「民主的で活発な議会の議論を守るために、委員会定数における課題はあるか」
について、提出者に質疑いたしました。
前回、定数を減らした時には、均衡をはかるため、と言う理由で定数を減らしたにも関わらず、
均衡が何を意味するのか、そのメリットや議会に及ぼす支障や影響などのデメリットについて、
答えませんでした。
そのうえ、民主的で活発な議会の議論を守るために、委員会定数における課題はあるかという質疑も、
50人の議員がいるから、委員会の定数は10人という説明を通しました。
今回の定数を戻す改正が、大田区議会での少数会派も含めた闊達な議論の場をどう確保するかという視点で提案されたものでないことがわかります。
平成18年(2006年)に地方自治法が変わり、議員の複数の常任委員会への所属制限が廃止され、複数の委員会に所属することが可能になっています。
大田区議会の委員会は、基本、同日に開催されるため、
複数で構成される会派に所属していない少数会派の意見は、委員会審議に反映されません。
そもそも委員会を決めるに際しても、実質は大会派が選び残った委員会を選ぶことしかできません。
今の大田区議会の委員会運営は、少数意見の発言の機会に制約があるのです。
今、大田区議会がすべきは、(議員が減ると)定数の削減(をするの)ではなく、委員会の定数を増やし、委員会開催日を同日ではなく別の日程にすることで、1人の議員が複数の委員会に所属することや傍聴を可能にして、議論をさらに闊達にすることだと思います。
私が、初当選した2003年からしばらくは、別の日に委員会が開催されると、委員外議員の発言が可能で、した。
傍聴した議員が、その場で発言内容を申し出、その場で、基本認めていただき、発言することもできました。
ところが、2013年3月5日の議会運営委員会で、委員外議員が委員会において発言しようとするときは、原則として開会前までに委員長に申出書を提出することになりました。
文書で事前に提出するので、その場で発言したい委員がいても、発言することはできません。
事前に文書で申し出ても、許可されなければ、委員外議員が、何について発言の許可を求めているのか、委員会の委員にしかわからず、傍聴者にも、議事録からも、見えなくなってしまいました。
新しい規則になる前は、委員外議員の発言の機会を使って、多くの一人会派少数会派の議員が発言の機会を得ていましたが、規則変更後に見つけられた委員外議員の発言は、発言内容の訂正だけでした。
一人会派は、複数委員会に所属できませんから、本会議中に委員会付託された議案などの審査の状況もわかりません。
議員であるにも関わらず、一人会派は、委員会外で、短い時間の中で、書記や所管管理職から議案の説明を聞き、委員会での議論の状況を聞くことでしか議論の内容を知ることができません。
一人会派、少数会派は、交渉会派とは意見が異なるため、少数会派でいるわけですから、少数意見が所属しない委員会の議論に少数意見は顕在化しないことになります。
本来均衡をはかるとは、多様な意見の発言機会を確保することであり、少数意見を委員会議論に参加させにくい、反映させにくい状況をつくることではないと思います。
少数意見を制限すれば、多数意見ばかりが目立つようになりますが、
議論の場面では、意見は、数の多少に関わらず同等に扱うべきです。
議案提出の基本的な考えに賛成できず反対いたします。