区民の要望を政策にするのが政治の仕事だと痛感します。
要望をかなえるには、手段こそが大切だと思うからです。
子育てしながら働く環境を整備するために、保育園を作ったら、
そこで働く保育士の低賃金が問題になっています。
区民の要望は、待機児の解消だったので、
待機児問題は、徐々に改善してきましたが、
結果として、株式会社の保育園が増えました。
国が、民間の保育園に
補助金をつけたのです。
かかる税金は同じでも、国からの補助金を貰えれば
その分、他の事業に税金を使えるので、区市町村は、
株式会社や社会福祉法人の保育園をつくりました。
社会福祉法人の保育園は、昔からありましたが、
特に23区の場合、東京都からの各種の補助金が減ったのと
社会福祉法人の法改正により、内部留保しにくくなったこともあって
社会福祉法人より株式会社の保育園が増えています。
結果、
子育てという誰もが必要な事業が「お金儲け」の対象に
なって、
・保育士の低賃金
・保育士不足
が起きています。
目的は待機時の解消でも、
どういった手段かで、
保育の環境は違ってきます。
・直営か企業か社会福祉法人
・そこで働く保育士の資格
・人員配置
・正規か非正規か
・施設の面積や備える要件(園庭の有無や避難経路)
‥‥
など、政治が考えなければならないことは、たくさんあります。
これらが違えば、こどもの育ちだけでなく、安全、経済、コストほかたくさんのことに影響を及ぼし、生活の質を悪化さます。
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保育に限らず、
住民の要望そのものを、政策かのように扱うようになってきています。
どういう手段で行うかが重要ですが、
予算をつける政治、要望を税金で買う政治、に単純化されているように感じます。
要望をかなえる「だけ」の政治だと、
短期的に「要望」はかないますが、
新たな、別の問題が現れる可能性があります。
全体的な検証をしないからです。
待機児童の確保で、保育園と定員は増えましたが、
保育士の低賃金や、園庭の無い保育園、
保育園のこども一人あたり面積の低下、
保育士不足などの問題が起きてきました。
結果、そこで利益を得られるのは、要望した区民(市民)・国民ではなく、
予算のついた事業者だったりします。
政治が、利益分配に特化されてくると、
さらに、住民への影響より、どこにお金をつけるかが重要になります。
手段を議論しない政治は、利益分配には都合が良いと思います。
誰に予算を落とすかが重要で、そのことによる問題をきちんと検証しなくてすむからです。
住民生活への中長期的影響にあまりにも無頓着です。
省庁再編など、官主導から政治主導に変わって20年を経過し、
政策を立案できる官僚(職員)が、職場の仕組みとしても、
また能力的にも、減ってきていると感じます。
いま、政策的な視点で、住民要望を評価・分析し、よりよい方策を立案・選択できる専門家がどれだけいるでしょうか。
そのうえ、いま、
行政は政策立案を公民連携で企業に委ねてきています。
住民要望は、長中期的影響を検証せず、単純化され、企業利益のために使われる一方で、
企業の利益(中でも外国投資家・グローバル投資家)を守るための政策は、実に緻密に作られていると驚きますが。