東調布中学校の改築に際し、地域住民から協議の場を持つよう陳情が出されました。
建築計画は普通、
1.基本構想・基本計画
2.基本設計
3.実施設計
の順で進みます
大田区は、丁寧に説明すると言いますが、
問題は
✕1~3の説明が不十分なのではなく
🔴1のあと、2に行く段階で、合意も説明も無く、設計を変えたことです。
🔴議会への報告(令和3年1月)内容とも違います。
住民にも、議会にも報告なく、計画を変え、設計したのです。
地域住民は、今年、令和6年6月の説明会で、それまで受けてきた説明の内容と大きく変わっていることに気づきました。
地域住民に協議会で説明してきた計画1.
今年6月に出した設計2.3(なぜか、学校ホームページに4月に掲載)
議会報告(令和3年1月)も住民アンケート(令和3年3月)も1の基本計画
それが、今年令和6年6月の説明会で出してきたのは、下の図です。
令和6年4月、突然学校のHPに掲載され、
議会には、陳情説明の資料という事で令和6年12月に配布されました。
設計変更をいつの段階で、なぜ、どのような手続きで、やったのでしょうか?
大田区は、軽微な変更と言いますが、西側の校舎の位置を変え、校舎の上にあったプールを東側の体育館の上に載せています。
東側の体育館の高さは、15mから、上にプールが乗ったことで21m。
重いプールを載せますから、校舎の位置も、校舎や体育館の構造も変わります。
これを軽微な変更と言えるでしょうか。
この変更を許せば、構想も計画も地方自治も形骸化するでしょう。
以下に、陳情の本文と討論を掲載します。
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6第53号の委員会審査結果に反対、採択を求める立場から討論します。
東調布中学校の改築に関わり、合意形成と協議求める陳情なので、
何が起きているか調べたら、
8回目の協議会で基本構想基本計画案まで出したものの、地域住民の反対が多く、まとまっていなかった複合化を、
2020年10月16日の9回目の協議会でB案のレイアウトの合意だけをとり、終わらせていました。
問題は、9回目の協議会で示したB案には、
・校門前のアプローチ部分は無く、
・既存校庭地盤より低くしており、
・陳情者が問題視しているプールは西にレイアウトされていたことです。
翌年1月15日のこども文教委員会への報告も、
2021年3月の近隣住民は見た記憶がないと言うポスティングも、
9回目の協議会で示した、西にプール、グラウンドは既存地盤より低く掘り込んだ配置B案が書かれていて、
高いと指摘されている東の体育館部分も、その時の案では地盤面から3階程度の高さです。
住民としては、B案というレイアウトだけに合意したつもりが、
区が9回目をもって協議を一方的に終わらせ、
その時のB案の図書館の複合化など詳細まで合意したとされるのも納得いかないところですが、
その9回目の案と全く違う、計画図が、今年6月の説明会で突然出てきたことを問題視しているのです。
区は、同じと言いますが、
・西の校舎の上にあったプールを第一種低層地域に隣接する東に配置し、
・高さを5階建て相当の21mにし、
・校舎の位置も変えた配置が、
・基本構想、基本計画と同じはずがありません。
大幅な計画変更をいつ、誰が、なぜ、どう行ない、その後の基本設計、実施設計をしたのでしょう。
今回、
・この陳情審査のために区が出した委員会資料は、
・近隣住民の最後の協議の場で配られたものでも、近隣にポスティングされアンケートを求めたものでもなく、令和3年1月のこども文教委員会への報告資料とも違う、
・陳情から出されて初めて出てきた文書です。
大幅な変更をしているのですから、まず、地域や議会、委員会に説明、報告すべきなのに、今も陳情説明だけで報告の変更も訂正もしていません。
それなのに、今年4月、こっそり学校のHPに掲載されたのですから、区民が、合意形成がおかしいというのも当然です。
こんな区民軽視、議会軽視が許されるでしょうか。
認めれば、
大田区議会は、行政が密室で突然変更した計画を、認め、
区長の独断のやり方を容認することになります。
住民が協議を求める委員会審査では、ほぼすべての会派が、区が、住民の理解や納得や合意の得られる説明をするよう求めていたと聞いています。
私も同じ意見です。採択を求めます。
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陳情本文
6 第 53 号 東調布中学校改築に関する陳情
【趣 旨】 東調布中学校改築の設計は住民側との十分な合意形成もなく進められており、安全性や住環境への影響等の課題も多いため、設計内容に関し、住民側との協議を行ってほしい。
【理 由】
・現状設計は事前に住民に対する十分な説明もなく、設計がなされています。コロナ禍を理由に令和3年3月に大田区HP上で基本構想の要望などを募っていますが、その周知の仕方も一方的で不十分であり、実際に令和6年6月の住民説明会で住民が初めて基本設計を知りえてから、反対の声が多く上がっていることからも、住民の理解・合意を得るプロセスが不十分といえます。
・また町会、同窓会、青少対、民生委員などで構成される、過去の改築協議会においては、「現状の環境と大きく変わらない」とすることが基本的な考え方であり、“グラウンドを囲む校舎の形状とする案”に対し、そのレイアウト形状のみを合意しています。その際には建物の高さなど、設計の詳細は合意されていませんが、その後に区は、地域代表者や住民側の合意を得ることなく、基本計画から設計変更し、プール位置変更などを含め、大きく環境を変化させるような、21m強の大きな体育館施設等を東側・南側道路のすぐ脇に建てる計画になっております。
・今回の設計内容は、基本計画における設計方針として、「周辺環境に配慮した施設計画」とされているにも拘わらず、現在の大田図書館跡地がどうなるかも不透明な状況において、狭い敷地である中学校に大田図書館を移設することになります。その結果、校舎が道路側の地域住民の生活空間まで迫り、地域住民の生活環境を乱されるだけでなく、子供たちの避難経路等の防災の観点からも、不安要素の大きな計画です。・なお、今回の設計内容は、体育館施設等は東側道路側の境界線から1.9m程度の位置であり、現状の建物位置(道路境界から2m程度の位置にプール設備がある)とほぼ変わらず(実質上、セットバックしていない)、建物位置は高さが高くなる分、周辺住居側に迫ることになります。
・図書館が中学校敷地内に入ることで、こどもの教育環境が良くなると、区は説明していますが、安全上の観点から、学校と図書館は、日常的に行き来することはできないと聞いています。学校貸出以上の効果があるなら、具体的に説明すべきです。
・令和6年4月に、策定された“おおた教育ビジョン”には、「大田図書館が担ってきた中央図書館としての役割に加え、これからの時代に求められる新たな役割を担う中央図書館の基本構想について、検討を進めます。」と書かれていますが、検討もないまま、東調布中学校に大田図書館の貸し出しと書架が移転すれば、大田区の中央図書館は、現場を失い、実質、消滅させることになるのではないでしょうか。大田区の図書館行政の根幹にかかわる問題を十分に検討することなく、建物の老朽化に伴う移転問題に矮小化し、東調布中学校の敷地が移転先として選ばれるのは、地域として、納得できるものではありません。
・以上のことから、多くの住民が現状の設計案に反対しており(実際100名を超える住民の署名もあり)、令和6年10月の住民説明会においても、区側は建築申請を進めるがために、「中高層建築物に関する紛争の予防と調整に関する住民説明」を強行しようとしましたが、合意形成がない中で無理やりに進められていることから、区の説明を聞くこと自体を住民側は拒否し、協議の場を持つように区側に要請しています。
東調布中学校の改築は、民間のデベロッパーが、建物を建築する際の手続きを踏めば、それでよしとされる事とは異なります。全体の奉仕者である大田区行政と主権者である地域住民との合意形成の問題であるからです。
・なお、私たち地域住民はこれまで「子どものために」という思いで学校を支えてきました。残念ながら区の姿勢は私たちの思いに水をさすものです。老朽化した中学校の建て替えは必要な事であるとは思いますが、この度の改築計画においては、図書館等を敷地内に複合化することで、建物の大きさや高さ等において現状と大きく異なる部分が多く、住民の受忍の限度を大きく超えるものになっています。図書館等を複合化したことにより、こどもの教育に具体的にどのような効果があるかの説明は、抽象的であいまいであり、図書館が中学校に併設される事による効果は見えません。住民の権利を尊重する姿勢をもち、住民と共に支えあう環境を作り出すためにも、協議の場を設けるように、お願いいたします。
◎添付署名あり (資料省略)