(1)昨日のウクライナ・ゼレンスキー大統領のオンラインでの日本の国会演説は、英、独、米などの議会演説とは抑揚を抑えたひと味違ったものになった。日本は戦力を保持せずに交戦権を有しない「平和憲法」を有しているが、欧米では革命思想国家群であり自由、平和、権利は自らの戦いで勝ち取るものであることを理念としており、ゼレンスキー大統領も英、独、米などには「制空権確保など軍事支援」を強く求めたが、日本に対しては露による理不尽なウクライナ軍事侵攻で受けている被害の大きさを示して、「福島第一原発事故を経験」している日本に原発事故の恐ろしさを強調して露軍が今は自国領の「チェルノブイリ原発などに攻撃を加えた暴挙」を非難することに時間をあてた。
(2)さらに今回の露による軍事侵攻には国際機関、国連の安全保障理事会が機能せずに改革が必要だとして、日本が「国連改革に取り組む姿勢」をみせていることに期待を示したといえる。またアジアで日本が「初めて露に対する圧力」をかけ始めたとして、制裁の継続を求めた。
(3)日本の東日本大震災からの復興を意識したかのようにウクライナの「復興」を考えなければならないとして、予防的に全世界が安全保障のために動けるツール(tool)、本当に侵略を止められるようなツールで「日本のリーダーシップ」がそういったツールの開発に大きな役割を果たせると期待を示した。
(4)最後に日本の発展、調和、文化を守る素晴らしさにふれ、ウクライナ人にとって日本の文化は本当に非常に興味深いものだとしてともに露に圧力をかけることによって平和をとり戻し、ウクライナを復興し国際機関の改革を行うことができるようになると国会演説を結んでいる。
(5)全体として露のウクライナ軍事侵攻に対するウクライナへの軍事支援という切実、現実的な問題、対応ではなく、平和、国際協調、復興への尽力を「日本のリーダーシップ」に求める、期待する格調の高い「ゼレンスキー大統領の政治理念」(high political ideas of president zelenskyy)の国会演説だった。
(6)世界は露の理不尽な(unreasonableness)ウクライナ軍事侵攻から、良心、良識をもって「ウクライナ」を見捨てることはできない。