(1)露によるウクライナ軍事侵攻は米、EU、日などの結束した露に対する経済、金融制裁(economic , financial sanction)が実施されて露の経済、金融、銀行決済への影響が出始めているといわれる。
同時に世界的な金利上昇、北極油田含みの原油価格のさらなる上昇、さらにウクライナが「東欧のシリコンバレー」(報道)といわれるようにIT産業集積拠点となっており、IT産業、社会への波及影響も大きいといわれる。
(2)国際経済、金融市場が底冷えする気配もみえてきて、日本では春闘シーズンで露侵攻前には賃上げに7割の企業が前向きといわれたが先行き不透明感でどうなるのか、岸田首相の新しい資本主義、成長と分配の好循環に直接影響を及ぼすだけに岸田首相にとっても厳しい試練が待ち受けるが、事は圧倒的軍事力を持つ露によるウクライナ軍事侵攻という主権侵害、国民の安全、生命にかかわる重大事態だけに、今そんなことをいっている場合ではないだろう。
(3)露は日本による経済、金融制裁に対して対抗措置を取ると公言しているのでまさか関連があるのか、トヨタの仕入れ先企業がサイバー攻撃を受けて部品製造が出来なくなり3月1日はトヨタ国内全工場が操業停止する事態になった。
(4)露への経済、金融制裁の被害影響は深刻なものになるだろうが、プーチン独裁国家としては被害影響のしわ寄せがこれまでの社会弱者に限られて、特権国家としてはそうはこたえるものではない。
北朝鮮でも米国、日本などの経済制裁が長く続いているが、金正恩独裁国家の北朝鮮としては核実験、ミサイル発射をくり返して国内事情はよくわからないが多分に国民弱者にしわ寄せはいっても特権国家としては制裁慣れがあるのではないのか。
(5)ウクライナ情勢でも米国民の6割は関わる必要はないと答えており、米国、EU、日本などの露制裁も経済、金融制裁に限られており、それはまた世界経済にも振りかぶって波及リスクが及ぶものであり、痛み分けのところがある。
(6)露のウクライナ軍事侵攻は5日目で露、ウクライナの停戦協議(armistice deliberation)が隣国ベラルーシで始まった。ウクライナ代表団は露軍が集結し侵攻したベラルーシに直接向かわずにポーランドを経由(報道)して迂回路をとったといわれて、停戦協議映像ではスーツ、タイの露代表団に対して対峙するウクライナ代表団は私服に帽子という戦場移動スタイルだ。
(7)プーチン大統領としては圧倒的な軍事力でウクライナ首都のキエフ、現政権を制圧し壊滅する思惑の前に停戦協議に応じるというのも誤算とみられ、ラブロフ外相も停戦協議はウクライナが武器を捨て降伏することが条件(報道)と言っていることからも露の軍事作戦が思うように進まずに思惑違いがみえるともいえる。
(8)しかしこれが停戦協議にどうひびくのか、プーチン大統領の固い侵攻決意を考えれば首都キエフ制圧、ウクライナ降伏、現政権壊滅以外に選択肢はないので、2回目の停戦協議が予定されているとはいえ緊迫の度合いは増している。