(1)露がウクライナ軍事侵攻をした時に、バイデン米大統領はNATOとして直接軍事介入すれば米露対立第3次世界大戦になるとして介入回避を表明したことが露プーチン大統領の強硬姿勢を助長した。
今回、反転攻勢のウクライナ軍がドローンを使って露国内400キロも入った地域を攻撃して、1000キロ飛行のドローンも所有しているとの報道もありモスクワも攻撃できる能力を示した。
(2)これに対してブリンケン米国務長官は「米国はウクライナが露国内を攻撃することを促さないし、その能力も与えていない」(報道)と強調してみせた。冒頭バイデン大統領の方針を確認した発言だが、露プーチン大統領としてはこれではウクライナ軍の攻撃が脅威とはならずに逆に核兵器使用を示唆して威かくする脅しが増すことになる。
(3)軍事情報はあまり細部、詳細にわたって明らかにし発信せずに、選択肢がいくつもあると相手側に思い込ませることが抑止力につながるものであり、米国のバイデン大統領、ブリンケン国務長官のNATOとして直接介入しない発言は露プーチン大統領の強気の姿勢をさらに持続させて、ウクライナ戦争を長期化させる要因だ。
(4)北朝鮮が頻繁にミサイル発射をくり返しているのは、バイデン大統領が朝鮮半島情勢からNATO、EU重視に政策、方針方向転換したことを受けての北朝鮮の米国への挑戦、挑発のあらわれであり、エスカレートをさらに助長している。来年早々には核実験を実施する情報もある。
(5)そういう世界情勢を受けて日本では円安、物価高で国民生活が打撃を受けている時に、政府は防衛費の増額を決めて5年で43兆円規模として、財源を増税で負担する方針だ。法人税に付加価値税を加える増税が浮上しているが、国民も企業も円安、原材料高騰、物価高で打撃、影響を受けている時にさらに増税で国民、企業に高い負担を強いるというのは時期的にもどういうものか考えなければならない。
(6)米国の防衛の肩代わりを求められての日本の防衛費増額負担であり、米国の外交、軍事戦略のあいまいさ、揺らぎが世界戦略に負担を及ぼしている。米国の揺らぎがスパイラル(spiral)に世界に波及している。
米国が世界戦略を変えるとすれば、どう変えるのか、どういう世界にするのか、概要は示す必要、責任はあり、同盟国に負担を強いるだけのあいまいさ、揺らぎはゆるされない。