いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

日銀の歪みと苦悩。 distortion and distress of the bank of japan

2022-12-22 20:41:35 | 日記
 (1)日銀がようやくというか利上げに踏み切った。日銀黒田総裁は利上げではなく債券市場の改善が目的と述べているが、長期金利0.25%から0.5%に上昇拡大したのだから利上げだ。欧米がインフレ対策で利上げに動き急激な円安傾向が続く中、黒田総裁は大規模金融緩和策を一貫して継続してきたが、これしかないタイミングで利上げに踏み切った。

 (2)9年の長期間在任している黒田総裁は来年春での退任が濃厚といわれて、一貫して推進してきた大規模金融緩和策は円安による物価高を招いて修正論、出口論の必要性が指摘されていた。そこで黒田総裁の在任期間が来年春までと迫り、ここで金融緩和低金利策の修正、出口の検討をすることがいい機会ではあったが、このまま年を越せば円安物価高を引きずって暗いままの経済で年明けを迎えて黒田総裁の来年春までの在任期間終了まで短いことから、ズルズルと修正する機会を失うことも考えられる。

 (3)今回の日銀の利上げで欧米との金利差が縮小する見方から一気に1ドル132円まで円高が進み、原材料高騰の物価高に歯止めの期待が持たれ、一方株価は輸出産業の業績悪化予測から日経平均株価は急落した。
 しかし新年は祝儀相場から株価が上昇するのが通例の株式相場であり、そういう意味でも年末のこの時期の日銀の利上げ決定は、ここしかないタイミングといえる。

 (4)一方で今後、国債発行で財政予算を支える国としては国債残高1000兆円超の国債利払い費が増えることになり、財政負担が重くなり、岸田首相が防衛費増額を国債ではなく増税でまかなおうとしたことにつながるものだ。

 (5)岸田首相は新しい資本主義の理念として所得倍増プランを打ち出しており、成長と分配の好循環社会の実現に向けて国民所得の中間層を分厚くすると述べており、金融政策を担う日銀総裁に誰を選ぶのか、どの理論を選択するのか注目される。
 リフレ派の黒田総裁は従来のカネの2倍を市場に供給しデフレ脱却を目指したが、資金として政府の国債を大量に買い支えてゼロ金利政策で国債利払いを抑えて円安、株高効果を生んで安倍元首相のアベノミクス、大企業、富裕層優遇政策を支えてきたが、国家財政の借金は増え続けて将来世代への負担増を招いた。

 (6)本来の日銀の立場、役割はそうした政府の金融政策を点検、検証して国の財政健全化に向けて日銀の金融政策を進める独立した機関だ。
 安倍元首相は大量の国債を買い支える日銀は政府の子会社と言ったが、黒田日銀の歪み、苦悩(distortion and distress of the bank of japan)の時代でもあった。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする