ひびレビ

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相棒シーズン12 第8話

2013-12-05 00:05:04 | 相棒シリーズ
相棒シーズン12、第8話はホトトギスと最後の淑女。

まずは、先日拍手コメントをくださった方へ。毎週感想を読んでいただいているとのことで、ありがとうございます。先週の「目撃証言」は、たった一言でも人の人生を狂わすことが出来てしまうという、発言への責任も考えさせられる、深い話だったと思います。

今回の事件は、自分の子供を他人に育てさせる「托卵」。それを人間が行ってしまったというのが事件の始まりでした。

それも1人の人間だけではなく、少なくとも2人以上の人間がそれに関わっていました。夏河や須磨子の夫・幸彦のみならず、広江に関係を迫っていた人間は多くいたのかもしれません。そんな中、広江と夏河の間に産まれた天使のような子が小百合だったと。
房夫は小百合が自分の娘ではないと知っていましたが、それでも実の娘のように大切に思っていたというのはひしひしと感じました。血の繋がりはなくとも、愛した人が産んだ娘である事には変わりは無く。二度と会えないという決意を胸に、殺人を偽装し、遠くの地へと去っていく。例えホトトギスの子供であっても、大切な子供には変わりない。
産みの親と育ての親。例え本物の父親でなかったとしても、小百合の中では房夫はずっと本物の父親であり続けることでしょう。父に会いたいという願いは叶えられそうにありませんが、小百合がそう思ってくれていること、元気でいることが房夫にとっては何よりの幸せではないでしょうか。


一見美しい声で泣くホトトギスも、内面には醜いものを抱えていたり、「托卵」という習性もある。虫も殺さないような人間であっても、犯罪の過去がある。「最後の淑女」と称されるような女性であっても、心の中には誰にも言えない秘密を抱えている。立派な小説家かと思いきや、他人を脅し、他人の妻に関係を迫ろうともする。遠目からは美しい屋敷であっても、中にはびこる男たちは腐っていた・・・そんな中、外見も内面も美しい小百合は、本当に天使のような子供だったことでしょう。

ホトトギスだって、何も嫌がらせのために托卵をしているわけではないのかもしれません。自分の手ではこれ以上育てることは出来ないから、自分の子供の幸せを願って卵を託す。房夫の行動は、夏河のような卑劣な思いからではなく、親としての純粋な思いから産まれた托卵だったと思いました。
犯罪もその隠蔽も、決して許されたことではありませんでした。けれども、家族を大切に思う気持ちに間違いは無いと思います。ホトトギスは何故托卵するのだろう。


須磨子が「唯一」信頼した殿方である峯秋。峯秋に対する信頼の言葉でもありますが、同時に夏河や自分の夫、サロンの男性の事を信頼していなかったとも取れる一言でした。あの事件が須磨子に深い傷を負わせたことが伝わってきます。
そんな風に信頼していた峯秋に対し、最後に殆ど頭を下げずに礼をした須磨子。これは峯秋との関係を周りの人間に勘ぐられたくなかったのだと思います。峯秋と須磨子の繋がりが知られてしまえば、いずれは小百合にも真実が伝わってしまうかもしれませんし。

須磨子が連れて行かれた姿を見た峯秋は、今回の一件を特命係に頼んだことに対し、どういう思いを抱いているのだろう。右京さんならばいずれ真実にたどり着くことも十分に考えられそうなものですが、そこはまだ、峯秋が右京の腕を見くびっていたのかな。
時効とはいえ、須磨子に辛い思いをさせてしまった。右京さんもいたとはいえ、かつての自分と同じように、息子が事件の真実にたどり着いてしまった。シーズン12では甲斐親子が互いの思いや過去に触れる場面も描かれていますが、果たしてどうなるのやら・・・

自分の息子が、自分ではない人間の下で育っていく。峯秋もまた、ホトトギスなのかもしれません。

最後に右京が聞いた鳥の声。またどこかで托卵が行われているかもしれない。せめてそれは、動物の世界だけであってくれますように・・・
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