地上波で放送された「心が叫びたがってるんだ」を見ました。
おしゃべりが大好きな少女・成瀬順は、街にある「お城」に憧れを抱いていたが、ある日そこから父親と見知らぬ女性が出てくるところを目撃する。何も知らない順はそのことを楽しそうに母親に話すも、それがきっかけとなり父親は家を出て行くことになり、父親からは「全部お前のせいじゃないか」と言われ、強いショックを受けてしまう。
以来、順は喋る玉子によって「呪い」をかけられ、人とまともに話すことが出来ず、喋ろうとすれば腹痛に見舞われてしまうことになった。
そんな順が高校生になったある日、地域ふれあい交流会の実行委員4人のうちの1人に選抜されてしまう。最初は反発していた順だったが、坂上拓実との出会いを経て、「歌」であれば人前で声を出してもお腹が痛くならないことに気づき・・・
という物語。現在実写版が公開中とのことですが、喋る玉子のシーンを除けば実写化しても不思議ではない作品だと思うので、良いんじゃないでしょうか。でも、アニメ好きな身としては、アニメ版で満足してしまった後、実写版を見たくなるかと言われるとまた別の話でして・・・(汗。あと略称の「ここさけ」は何か違う気がしてならない。
それはそれとして、「呪い」にかかった少女・順を中心に、彼女の「王子様」となっていく坂上拓実、拓実と付き合っていた過去がある仁藤菜月、負傷した野球部員・田崎大輔らによって物語が展開していきます。
順の頑張りに皆が引かれていく中で、拓実と菜月の関係にも僅かに変化が現われ始めたり、最初は順を軽視していた田崎もその頑張りから彼女に好意を寄せるようになっていったり・・・といった、恋愛模様についても描かれています。視聴前は「順と拓実が付き合う」ものだと思ってましたが、放送中のCMかどこかで「失恋」というキーワードが出ていたために、「ああ、そういう話なんだな」とうっすら展開が予想できてしまいました(苦笑。
キャラクターに関しては順がぶっちぎりで可愛かったです。特に田崎に携帯電話の画面に映った、自分の言葉を見せるシーンがとにかく可愛い。また、「言葉は傷つけるんだから!絶対に・・・もう、取り戻せないんだから!」という発言からも、誰よりも言葉の力の強さを認識しているところも印象的でした。そんな彼女の懸命な頑張りに、皆が次第にまとまっていくという流れも良かったですね。
ただ、作中において「王子様」であるところの拓実に関しては、順を導くという重要な役割を担っていたものの、私の好感度としては田崎の方が高かったです。「言葉を発することはできるが、本当の思いを口にできない」という、順とは似ているようで異なるキャラクター付けも面白いとは思うのですが、今ひとつインパクトに欠けると言いますか、あともう一押し何か欲しかったと言いますか・・・
とはいえ、王子様が必ずしもお姫様と結ばれるわけではない、という展開は印象に残りました。姫を助けに来てくれた勇者や王子様に、既に好きな人がいたっておかしくはない。そんな当たり前のことに気がつかされた展開でもありましたね。
田崎に関しては、野球部の元エースでありながらも、負傷してしまったがために現状にどこか不満げな態度を顕わにしており、そのことがきっかけで影では後輩にも嫌われていた、という人物でした。それが順たちとの交流を経て、謝罪の言葉を口にして態度を改め、どんどん好青年となっていきます。
中盤で順の言葉(メール本文)に照れたり、「順がいなくなった原因が自分の好意を抱いていたことに原因があるかどうかわからない」と言った趣旨の発言をした拓実に対して「お前がそれを・・・」と悔しさ・もどかしさを滲ませるシーンが良いなぁと思っていたら、ラストでは「よくやった!」と言いたくなる展開も待っていたため、そういったことも含めて、田崎のポイントが高めです。ヒロインが好きな人と結ばれてハッピーエンド!ばかりが作品じゃないとは思いますが、やっぱり自分の好きなキャラクターには特に幸せになってもらいたいじゃないですか。
なので、「悪い気はしないし、むしろ嬉しいくらいだけれども、失恋してすぐにOKの返事を出すようでは相手にも申し訳ない気がするので、返事は待ってもらう。その後どうしたら良いのか分からずに悶々としつつ、学校でもすれ違ってばかりだけれども、野球応援に行った際に大声で『頑張れ!』と叫んで、自分の気持ちに気づいて、OKを出す」的な展開を所望します。王道っぽいですが、それでも良いから幸せな順を見てみたい。
この映画においては、言葉や思いを相手に伝えることの大切さと、言葉の危険性が描かれています。言葉は人を励ますことも、応援することも出来る一方で、簡単に人を傷つけてしまう危険性も持ち合わせている。そしてそれはどう足掻いても消し去ることが出来ない。一度口にしてしまったらその言葉は消えず、その良し悪しに関係なく心に刻み付けられてしまう・・・「沈黙の15分」でコナンが似たようなことを言っていた気もしますが、それはそれとして。
心のままに思いを伝えることは、とても難しいことだと思います。思っていても言わないことが良いこともあれば、その場の感情のままに辛らつなひと言を放ってしまう時もある。「好き」という言葉を伝えたくても、周りの目が気になってそれが言えなくなってしまう。弁解したいけれども、相手が話を聞こうとしてくれない・・・難しいものです。
何かを「嫌い」だと言葉にすることは簡単ですが、それは同時に視野を狭めてしまう危険性もあると思います。一度何かを嫌いだと自覚し、言葉にしてしまったら、後はもう嫌なところしか目につかず、嫌いなものの中にある好きなものを見逃してしまうことだってあると思います。だから私は「嫌い」とは言わず、せいぜい「苦手」ぐらいに留めておこうと思っています。嫌いになっていた作品もありましたが、「あそこ以外は良かった」と思えるようになりましたし、何だかんだでもう1回見たら楽しめそうな気はしています。
若干本筋とずれましたが、ともかく言葉の素晴らしさと残酷さ。その両方が描かれていたと感じた映画でした。
おしゃべりが大好きな少女・成瀬順は、街にある「お城」に憧れを抱いていたが、ある日そこから父親と見知らぬ女性が出てくるところを目撃する。何も知らない順はそのことを楽しそうに母親に話すも、それがきっかけとなり父親は家を出て行くことになり、父親からは「全部お前のせいじゃないか」と言われ、強いショックを受けてしまう。
以来、順は喋る玉子によって「呪い」をかけられ、人とまともに話すことが出来ず、喋ろうとすれば腹痛に見舞われてしまうことになった。
そんな順が高校生になったある日、地域ふれあい交流会の実行委員4人のうちの1人に選抜されてしまう。最初は反発していた順だったが、坂上拓実との出会いを経て、「歌」であれば人前で声を出してもお腹が痛くならないことに気づき・・・
という物語。現在実写版が公開中とのことですが、喋る玉子のシーンを除けば実写化しても不思議ではない作品だと思うので、良いんじゃないでしょうか。でも、アニメ好きな身としては、アニメ版で満足してしまった後、実写版を見たくなるかと言われるとまた別の話でして・・・(汗。あと略称の「ここさけ」は何か違う気がしてならない。
それはそれとして、「呪い」にかかった少女・順を中心に、彼女の「王子様」となっていく坂上拓実、拓実と付き合っていた過去がある仁藤菜月、負傷した野球部員・田崎大輔らによって物語が展開していきます。
順の頑張りに皆が引かれていく中で、拓実と菜月の関係にも僅かに変化が現われ始めたり、最初は順を軽視していた田崎もその頑張りから彼女に好意を寄せるようになっていったり・・・といった、恋愛模様についても描かれています。視聴前は「順と拓実が付き合う」ものだと思ってましたが、放送中のCMかどこかで「失恋」というキーワードが出ていたために、「ああ、そういう話なんだな」とうっすら展開が予想できてしまいました(苦笑。
キャラクターに関しては順がぶっちぎりで可愛かったです。特に田崎に携帯電話の画面に映った、自分の言葉を見せるシーンがとにかく可愛い。また、「言葉は傷つけるんだから!絶対に・・・もう、取り戻せないんだから!」という発言からも、誰よりも言葉の力の強さを認識しているところも印象的でした。そんな彼女の懸命な頑張りに、皆が次第にまとまっていくという流れも良かったですね。
ただ、作中において「王子様」であるところの拓実に関しては、順を導くという重要な役割を担っていたものの、私の好感度としては田崎の方が高かったです。「言葉を発することはできるが、本当の思いを口にできない」という、順とは似ているようで異なるキャラクター付けも面白いとは思うのですが、今ひとつインパクトに欠けると言いますか、あともう一押し何か欲しかったと言いますか・・・
とはいえ、王子様が必ずしもお姫様と結ばれるわけではない、という展開は印象に残りました。姫を助けに来てくれた勇者や王子様に、既に好きな人がいたっておかしくはない。そんな当たり前のことに気がつかされた展開でもありましたね。
田崎に関しては、野球部の元エースでありながらも、負傷してしまったがために現状にどこか不満げな態度を顕わにしており、そのことがきっかけで影では後輩にも嫌われていた、という人物でした。それが順たちとの交流を経て、謝罪の言葉を口にして態度を改め、どんどん好青年となっていきます。
中盤で順の言葉(メール本文)に照れたり、「順がいなくなった原因が自分の好意を抱いていたことに原因があるかどうかわからない」と言った趣旨の発言をした拓実に対して「お前がそれを・・・」と悔しさ・もどかしさを滲ませるシーンが良いなぁと思っていたら、ラストでは「よくやった!」と言いたくなる展開も待っていたため、そういったことも含めて、田崎のポイントが高めです。ヒロインが好きな人と結ばれてハッピーエンド!ばかりが作品じゃないとは思いますが、やっぱり自分の好きなキャラクターには特に幸せになってもらいたいじゃないですか。
なので、「悪い気はしないし、むしろ嬉しいくらいだけれども、失恋してすぐにOKの返事を出すようでは相手にも申し訳ない気がするので、返事は待ってもらう。その後どうしたら良いのか分からずに悶々としつつ、学校でもすれ違ってばかりだけれども、野球応援に行った際に大声で『頑張れ!』と叫んで、自分の気持ちに気づいて、OKを出す」的な展開を所望します。王道っぽいですが、それでも良いから幸せな順を見てみたい。
この映画においては、言葉や思いを相手に伝えることの大切さと、言葉の危険性が描かれています。言葉は人を励ますことも、応援することも出来る一方で、簡単に人を傷つけてしまう危険性も持ち合わせている。そしてそれはどう足掻いても消し去ることが出来ない。一度口にしてしまったらその言葉は消えず、その良し悪しに関係なく心に刻み付けられてしまう・・・「沈黙の15分」でコナンが似たようなことを言っていた気もしますが、それはそれとして。
心のままに思いを伝えることは、とても難しいことだと思います。思っていても言わないことが良いこともあれば、その場の感情のままに辛らつなひと言を放ってしまう時もある。「好き」という言葉を伝えたくても、周りの目が気になってそれが言えなくなってしまう。弁解したいけれども、相手が話を聞こうとしてくれない・・・難しいものです。
何かを「嫌い」だと言葉にすることは簡単ですが、それは同時に視野を狭めてしまう危険性もあると思います。一度何かを嫌いだと自覚し、言葉にしてしまったら、後はもう嫌なところしか目につかず、嫌いなものの中にある好きなものを見逃してしまうことだってあると思います。だから私は「嫌い」とは言わず、せいぜい「苦手」ぐらいに留めておこうと思っています。嫌いになっていた作品もありましたが、「あそこ以外は良かった」と思えるようになりましたし、何だかんだでもう1回見たら楽しめそうな気はしています。
若干本筋とずれましたが、ともかく言葉の素晴らしさと残酷さ。その両方が描かれていたと感じた映画でした。