宙組「翼ある人びと」

2014-02-12 20:32:26 | TAKARAZUKA
なんというか…、宝塚であって宝塚でないような、まさに演劇を観させて貰った感覚です。

かつての太田先生の作品を観てるような、耽美な世界観に酔しれました。宝塚であって宝塚でない世界観…。キタロウ君が演じて魅せた狂気の世界を今の宝塚で観れる日が来るなんて…。

とっても良かったです!

ぶっちゃけ書くと、ワタクシあまりブラームス、シューベルト、リストの曲を知らないし、実際舞台で使用された曲ほとんど知らなかった…(汗)、人物像なんて更に知らないし、ぶっちゃけ興味なかったけど…、そんな私でも感動するくらい脚本・演出・演技が大変素晴らしかったです。

私は知らない曲だったけど、使い方も上手かったし、シンプルなセットだったけど情緒たっぷりだったし、隙間のある空間は演技力で埋め尽くされいたし、精神世界も描かれていたし、単純に不倫モノだと思っていたら、もっと崇高な世界観だったし、何より言葉が美しい!

ワタクシめちゃくちゃ大好物な世界観でした!(笑)

ベートーヴェンの使い方も上手かったし、一幕ラストのリフレインは洒落た演出だったし、山の頂きを臨みその先に見えるもの、シューマンとその妻のクララから貰った翼でまさにその山の頂から今、自由を求めて飛びたたんとするブラームスを耽美に描いていて…、

上田先生って、三島由紀夫の再来かと思ったくらい(←スミマセン、ちと大袈裟でした…)、本当に選択する言葉が綺麗!

私は観てないですが、前回大評判だった「月雲の皇子」で、どんな演出をされる方なのか非常に興味あっての今回の観劇だったのですが、私の想像を遥かに越える素晴らしい世界観をお持ちの方です。

上田先生の脚本演出もさることながら、マー君率いる宙組メンバーの演技力と見せ方の確かさに圧倒されっぱなしでした。

スカーレット効果か、マー君の男役としての表情がとても柔和になっていて、演技力だけでなくダンスでも、生真面目な青年ブラームスを見事に演じて魅せたくれました。

うららちゃんのクララ・シューマンも確かな演技力とその美貌に酔しれた。もっと歌に声量さえあれば、エリザベートも見たいし、黒蜥蜴も見たい!と思わせたくらい、マー君と二人めちゃ絵になる美しさがあって、この二人で「明智小五郎の事件簿」が観たくなった。ぶっちゃけ、うららちゃんが若い頃の美輪さんに見えた!←これ、めちゃ褒めてます。

この二人を引き立てたかのように、それでいて二人に引き立てられたかのように存在していたシューマン・キタロウ君がめちゃ良かった!

まさかキタロウ君で本意気の狂気の演技が見れるなんて思ってもいなかったので、その演技力に助演男優賞を差し上げたいくらい。キタロウ君がいてこその「翼ある人びと」だったと断言しても過言ではない。キタロウファン必見!

この三人だけでなく、脇を固めたセイコさんに、れーれ、澄輝君、凛城君、愛月君がまた素晴らしい演技と存在感で作品を引き立ててました。

凛きら君のベートーヴェンがまた素晴らしい!このベートーヴェンはまさにブラームスとシューマンの精神世界の王様的存在なんですが、めちゃ説得力のある演技でした。

プロローグのれーれの老けた時の役作りで完全に上田先生ワールドに引き込まれました。私には弱い演技に見えましたが、それもアリかと思わせる演出でした。れーれも歌が課題やな。

今日のトークショーによると近々愛月リストが頑張って芸術的なピアノ演奏を見せてくれるようなので、これからご覧になる方は、愛月君のリストにもご注目を!そうそう、素の愛月君は役と違ってめちゃお茶目でした。リストは見事な役作りでした。

“翼ある人びと”もいいけど、“秋のソナタ”でもぴったりなくらい、秋をイメージしたダンスや衣装、そして美術も良かったです。

宙組ファンだけでなく、クラシックファン、演劇ファンも唸らせるくらいの完成度の高さがあります。私は超オススメします!あと、夢を追いかけている若者にも観て欲しい!

今日のまとめ:この作品、ホント名台詞&名言オンパレードです!あ~この作品の脚本が欲しい!!!

あ、私もクララの台詞“貸衣装です”に一票! ←キタロウ君のお気に入りの台詞(笑)


「メイジーの瞳」

2014-02-12 02:01:44 | 映画
なんとまぁ、自己チューな親なんだ!あり得ないけど、あり得る!この両親を見たら、まだ私は両親からたくさん愛をもらってたほうだと再確認出来た(笑)

最初から最後まで六歳のメイジー目線で描かれているのは良かったけど、ぶっちゃけ、こんな子供おるか?と思ったくらい、ある意味大人な対応が出来る子だったので違和感アリアリでした。

始終、私が小さかった頃の記憶がフラッシュバックされたので、メイジーを見ながら自分と比べてました。

私ならあんな大人な対応&振舞いできん!(笑)

私の両親もメイジーの両親のように、しょっちゅう喧嘩していて、何度も離婚話になっては、小さかった私は泣いて、別れないで!と訴えてました。ま、高校生になったら、さっさとこんなジジィと別れろや!と母親に言ってましたけど…(汗)結局、私の両親はメイジーの両親みたいに離婚することなかったです。

メイジーは、私と違って泣くこともなく、大人の身勝手な事情に振り回されながらも健気な態度をとるんですよ。私自身と比較するとマジあり得ない精神状態。

あんなにタライ回しにされて、しかも全く血のつながっていない他人さんに面倒を押し付けられても尚無邪気でいるなんて考えられない。私ならめちゃくちゃ泣きまくって親の愛情を確かめます。

ぶっちゃけ、思わず、メイジーが大人になった時の精神状態を想像してしまいましたが、普通なら、メイジーのオカンみたいに統合失調症になるよ。

一見平和そうなラストに思えるかもしれないけど、私には不幸の畳み掛けにしか思えない。メイジーはあの両親から本当の愛を貰えるのか心配や。たとえ貰わなくても、ちゃんと精神的に自立した女性になれるのか心配でならん。

ジュリアン・ムーア演じるオカンは、最後に、メイジーがかつて自分と同じ境遇にあることを思い出すシーンがあるんですが、結局仕事を選んだやん(←今後は分からない。凄く反省したかもしれないし…)。面倒を見てくれたカップルにはお礼も言うことなくさ。だから余計、メイジーの未来は前途多難に思えてならない。そういう意味ではリアルさがある。

オヤジも超自己チューで、新しいお嫁さんに合鍵を渡さないなんてマジあり得ん!

似た者同士はよく喧嘩するというけど、マジそんな二人。ユリちゃんのドラマの台詞を借りると、一度は愛しあったわけやん。そしてメイジーが産まれたわけやん。なのにどうして、あそこまで子供をないがしろに出来るのか…、フィクションと言えども、極端な設定だけど、でも何故か不思議にリアリティーを感じた。

この両親からメイジーみたいな子供が育つことが逆にそこは信じられない。マリア様みたいに泣いている女性にそっと手を差し伸べるシーンがあるんですが、普通は逆だろ!?と思った。そういう意味でも、将来のメイジーの精神状態が非常に心配になる。大人の事情がトラウマにならないか心配。

私の場合、小さい頃は泣けば必ず誰かが助けてくれてたから、今も生きてるわけなんですが、小さい頃の私は計画的(当時は無意識的やね)迷子常習犯でしたね、今思えば(笑)

じっとしていられない性分で、待つことが出来なかったから、どこに連れて行かれてもすぐその場から逃げだして、迷子になっては泣いて誰かに保護されて親に迷惑掛けてました。大概、そうすると家に帰る流れになるから、今思うと、子供ながらに迷子になることで親の愛情を確かめていたんだと思う。もし、これが、メイジーの両親だったら、間違いなく今の私は存在してません。人間不信に陥って一切口も利かず、もっとひねくれた子供になってたと思う。

なんだかんだで、産んでくれとは頼んでない親だけど、この両親だからこそ今の自分が存在することは確かだから、本当、育ててくれたことには感謝です。まだまだ産んでくれてありがとうとは心からは思えないけどね。

作品的には、アメリカと日本の文化の違いをまざまざと感じる内容と展開で、いくら子供目線とは言えども、メイジーの知らないとこでの登場人物の会話は一切カットなので、居場所を知らせる等の状況説明が省かれていて、映画作品としては単調な見せ方になったのが残念だった。あくまでメイジーが見たままの状況が描いているだけなので、辻褄にいささか疑問が湧くんですよね…。「もうひとりの息子」や「そして父になる」とは全く異なるアプローチなので、映画としては今一つパンチが足らん。

メイジーを演じた女の子の演技は超自然体で、設定はあり得ないけど、存在感は素晴らしかった。

ジュリアン・ムーアのエキセントリックなロックシンガーの母親役は超新鮮でした。あまりの最低ぶりに私の苛立ち度MAXでした。この人も役で表情や雰囲気を変えられる女優さんなので演技は良かったです。

ラースの「メランコリア」では超イケメンだったアレキサンダー・スカルスガルドの養父役は、今回は超頼りなげな役柄で、なんとなくジム・キャリーと存在感が被る。今回はイケメンが台無しでしたが、そのギャップが良かったです。細かい演技に、父親のステラン・スカルスガルドの血を感じたので、父親同様、狂気が似合う怪物俳優だと睨んでます。今後が楽しみです。

そうそう、この作品も美奈さんの日本語訳でした。めちゃ不思議な縁を感じる。

今日のまとめ:幼少期のお子さんのいる親子関係や夫婦関係って、めちゃくちゃ大事だと思う。結婚して子供を産んで初めて親の有り難さが分かると言うけど、同じように、子供時代の自分も思い出して欲しい。

「ストレイト・ストーリー」のように過去を忘れることも時には大事だけど、教訓として過去を記憶することも大事だと思う。