骨と軽蔑

2024-04-07 20:39:08 | 舞台
ぶっちゃけ書くと、野田さん、いやいやいやいや、ケラさんにしては珍しく内容が薄かったね。特に第一幕ね。

第一幕は、まるで漫才のような掛け合いで時間が過ぎていった感があったけど、第二幕で本筋が見えてきた感じ。

ラストは、ケラさんお得意のアイロニーたっぷりのオチだった。

全体的には、ケラさんお得意の姉妹モノの寓話作ではあったけど、第一幕は比較的コメディー色が強く、第二幕の後半に押しかけてくる悲劇性がアイロニーにつながっていて、ケラさんらしいと思った。

内容はさておき、豪華キャスト陣を見てるだけでも眼福眼福!

漫才のような掛け合いは、個人的には嫌いではない。むしろ、結構笑わせてもらった。本当は大声で笑いたかったけど空気的には厳しかったのでトーンを抑えて笑わった。

第二幕にケラさんが伝えたいメッセージが集約されていたと思うので、トータルではご破算って感じかな。

ということで、大阪大千秋楽に行ってきました。

いやー、本当に、りえちゃん筆頭にテレビや舞台で引っ張りだこの豪華キャスト陣の華麗なる競演は眼福でございました。

キャラも濃いし、皆さん笑わせてくる。

小池栄子さんなんて、「グッド・バイ」に近いキャラやん!?最高やわ!(笑)

犬山イヌコさんは、もう間が良すぎ!

りえちゃんと杏ちゃんは、まさに漫才のような掛け合い。息もピッタリ!まあね、何作も共演してるもんね。

りえちゃんはしのぶさんと同じで、映像の時と舞台の時で声の出し方が変わるから、その舞台声が好き。

堀内敬子さんは、まさかの2役。登場シーンから笑わせてくる。これは設定の勝利やね。

峯村エリさんは、アル中の天然キャラ。からの第二幕のギャップがまさに女優の技!あの髪型凄いな!藁

水川あさみちゃんは、笑わせてくるというより、いい声だからキレキャラの怒鳴り声が素晴らしかった。

舞台セットが、屋敷内でもあり屋外でもある作りなので、見せ方によってシチュエーションが異なる。それを逆手に笑わせてくるなんて!

ギャグだらけ!

だけど、悲しいことにバカ笑いさせてくれない空気が客席に漂っている。大阪なのに!藁

それはさておき、

時代背景が内戦真っ只中で、軍事産業で財を成している邸宅内外の物語。

数多の戦争で多くの男が戦死し、今では女性だけでなく子供たちも徴兵されている時代。

第一幕は、大砲の音が印象的なので、内戦中というのを強く提示しているのは分かるし、なおかつ軍事産業で財を成している一家族の物語なので、どのようにこれらが伏線になっているの気になりながら観てたけど、一向に家族の物語と内戦が絡んでこないんよね。

謎に笑わせてくる演出が際立っていて、第一幕の80分は全くケラさんの意図が見えてこないんよね。ただコメディーをやりたかったのか?未来を描きたかったのか?女性の不幸を描きたかったのか?単純にファンタジーを描きたかったのか?豪華キャスト陣で何を見せたかったのか私にはわからなかった。

ただ、犬山イヌコさんを筆頭に客席を笑わせようとしているのは分かるけど、物語としてその笑いが何を意図しているのか見えてこない。

時代背景も登場人物の関係性も感情も何に繋がっているのか分からない。ただ単純に漫才のような掛け合いで楽しませてくる脚本なのか…。

豪華女優陣の華麗なる競演だけでも十分楽しくはあるけど、いかんせんケラさんの意図が見えてこない。第一幕ね。

第一幕ラストで屋敷の主が亡くなったことが大きなうねりとなって第二幕に突入していくわけですが、

第一幕はなんやったん?と言いたくなるくらい、無駄に長い第一幕に対し、第二幕からは展開が早くなる。

第二幕にケラさんが伝えたいこと表現したいことが集約されてた印象。

第一幕は、豪華女優陣の長い長いイントロダクションって感じだったね。

第二幕になってやっと、りえちゃんと杏ちゃん姉妹の絆や、女性の幸せ、しいては人間の幸せとは何か?人間の傲慢さも含めて、人間の都合で狂わされている者たちの怒りなど、寓話的にアイロニーたっぷりに描いている作品だったことに気付いた。

第一幕の堀内敬子さんの登場シーンがまさか第二幕の伏線になっていたとは思わなかったし、

主人に虐待?される妻(峯村エリさん演じる)が第二幕では軍事産業で牛耳る女主人になっているし、

第一幕では、主人の秘書兼愛人(水川あさみちゃん)が第二幕では女主人に仕え、挙句の果ては戦地に赴く。

第一幕では、りえちゃんと杏ちゃん姉妹は同じ男を好きになっているので姉妹の確執がある。第二幕になって誤解?が解け姉妹は仲良くなる。

第一幕では、りえちゃん演じる作家のファンとして登場する小池栄子さん。ある意味、家族や姉妹の関係性に更に深い溝を掘るような存在だったけども、第二幕では溝を埋める役割を果たす。と思ったら、ごくごく小さな過ち、むしろ、普通に考えも犯罪になるような過ちではないが、助けた虫を鳥に食べさせてしまうというごくごく小さな過ちが屋敷の住民に不幸へと導く。

犬山イヌコさん演じる家政婦は、第一幕も第二幕も安定のコメディーリリーフ。見事な間で随所で笑わせてくる。

ラストのアイロニーは、自分の幸せしか考えていない者たちへの報復。

軍事産業で財を成している者たちへの報復とも感じとれる。

ほんま、そう!

人殺しで金儲けすんなよ!って言いたくなる。

戦争が勃発すると軍事産業の株が値上がりするからね。

全くもって理解不能!

株式ってなんやねん?トレーダーってなんやねん?人の労働と命を紙切れやネットで取引すんなよ!お前らも汗水流して働け!と言いたくなる。

と思うと、

決して悪くない作品。むしろ、素晴らしい!と言いたくなる。


今日は大千秋楽ということもあり、カーテンコールにケラさんが登場されました。久々の生ケラさん!

ケラさんからも挨拶があり、野田さんの名前を出して登場されました。藁

昨日6日は、りえちゃんの誕生日でもあり、そのことを報告されてました。ちなみに、インスタのストーリーでその様子がアップされてました。

りえちゃん、お誕生日おめでとう!

ケラさんも仰ってましたが、本当にスケジュールが合わせにくい豪華なキャスト陣でしたね。

眼福でございました!