その昔
三枚肉の角煮は
立方体をしていました
丼のふち3点に
展開角120°
ちょうど正三角形になるように
まるで
ラピュタのキューブのごとく
幾何学的にセットされた立方体
そして三角形の重心たる丼の中央には
半味玉が神秘的にたたずみ
天空からの光を集めています
そして
角煮3つと
スープの最下層とを結ぶと
そこには正三角錐が現れ
切立ちの丼がそれを包み込むが如く
香油ラーメンという名の
変則ピラミッドが出現し
北極星からのパワーを
我々人類に降ろしていたのでした
含脂層:肉層=2:3ぐらいの
大きすぎず小さすぎず
箸先にジャストサイズの角煮を
一口にほお張ると
脂の層に蓄えられた
独特の風味が口いっぱいに広がり
思わず
天の主からの声が
テレパシーのごとく脳裏を満たし
と
思い出は
もはや妄想も宴たけなわ
香油がなくとも豪快なら!! と
角煮は共通なはず!! と
思いをつのらせ
改めて
一度失ったものは二度と戻ってこない
この憂き世を
噛みしめていたのです