平成28年4月4日 時事通信
TPP法案、5日審議入り=農業市場開放など争点―野党、「譲り過ぎ」追及へ
TPP交渉の主なポイント
日米など12カ国が合意した環太平洋連携協定(TPP)の承認案と、国内制度を整備する関連法案の国会審議が5日、衆院で始まる。TPPをめぐっては市場開放で安い農産物の輸入が増え、国内農家が打撃を受けるといった懸念も根強い。政府・与党は今国会での協定承認、法案成立を目指す方針。後半国会で与野党の攻防の場となる審議の争点をまとめた。
最大の争点は、日本が関税交渉で「聖域」と位置付けたコメや牛・豚肉、乳製品など農産品重要5項目のTPP合意での扱いだ。コメの関税は守ったものの、米国、オーストラリア向けに関税ゼロの特別輸入枠を設定。最終的に重要5項目では3割の関税が撤廃される。また米国など5カ国の要請で、日本が協定発効の遅くとも7年後に関税撤廃の繰り上げに関し再協議することも規定されている。
野党側は市場開放合意について「政府は譲り過ぎ」と批判。5項目の関税維持を求めた国会決議との整合性などを追及する構えだ。
TPPは、域内の経済活動を促す共通ルールを約30分野で定め、既存の多国間通商協定にない新たな制度も設ける。知的財産権保護では、小説や音楽などの著作権保護期間を欧米並みに原則、作者の死後70年に延長。作者の告訴なしに警察が海賊版を取り締まれる「非親告罪」の導入に向けた規定も整備する。野党の間には、「摘発や訴訟提起を恐れ、創作活動が萎縮する」などと問題視する声がある。
TPPでは、外国企業が進出先の制度変更で損害を被った場合に、相手国を提訴できる枠組み「投資家・国家間の紛争解決(ISDS)条項」も規定する。野党は「訴訟大国の米国企業が訴えてくる」と警戒する。
消費者の関心が高い「食の安全」も争点の一つだ。TPP条文は、参加国の規制の調和を促し、過度に慎重な対応をけん制している。消費者団体などは「将来は遺伝子組み換えや残留農薬を含む輸入食品が流入するのでは」と不安視する。
安倍晋三首相は1月の施政方針演説で「TPPは国内総生産を14兆円押し上げる」と強調した。昨年10月のTPP合意を受けて政府がまとめた影響試算に基づくものだが、野党側は「試算の根拠の全てを示したわけではなく曖昧だ」と、実効性を疑問視している。
TPP法案、5日審議入り=農業市場開放など争点―野党、「譲り過ぎ」追及へ
TPP交渉の主なポイント
日米など12カ国が合意した環太平洋連携協定(TPP)の承認案と、国内制度を整備する関連法案の国会審議が5日、衆院で始まる。TPPをめぐっては市場開放で安い農産物の輸入が増え、国内農家が打撃を受けるといった懸念も根強い。政府・与党は今国会での協定承認、法案成立を目指す方針。後半国会で与野党の攻防の場となる審議の争点をまとめた。
最大の争点は、日本が関税交渉で「聖域」と位置付けたコメや牛・豚肉、乳製品など農産品重要5項目のTPP合意での扱いだ。コメの関税は守ったものの、米国、オーストラリア向けに関税ゼロの特別輸入枠を設定。最終的に重要5項目では3割の関税が撤廃される。また米国など5カ国の要請で、日本が協定発効の遅くとも7年後に関税撤廃の繰り上げに関し再協議することも規定されている。
野党側は市場開放合意について「政府は譲り過ぎ」と批判。5項目の関税維持を求めた国会決議との整合性などを追及する構えだ。
TPPは、域内の経済活動を促す共通ルールを約30分野で定め、既存の多国間通商協定にない新たな制度も設ける。知的財産権保護では、小説や音楽などの著作権保護期間を欧米並みに原則、作者の死後70年に延長。作者の告訴なしに警察が海賊版を取り締まれる「非親告罪」の導入に向けた規定も整備する。野党の間には、「摘発や訴訟提起を恐れ、創作活動が萎縮する」などと問題視する声がある。
TPPでは、外国企業が進出先の制度変更で損害を被った場合に、相手国を提訴できる枠組み「投資家・国家間の紛争解決(ISDS)条項」も規定する。野党は「訴訟大国の米国企業が訴えてくる」と警戒する。
消費者の関心が高い「食の安全」も争点の一つだ。TPP条文は、参加国の規制の調和を促し、過度に慎重な対応をけん制している。消費者団体などは「将来は遺伝子組み換えや残留農薬を含む輸入食品が流入するのでは」と不安視する。
安倍晋三首相は1月の施政方針演説で「TPPは国内総生産を14兆円押し上げる」と強調した。昨年10月のTPP合意を受けて政府がまとめた影響試算に基づくものだが、野党側は「試算の根拠の全てを示したわけではなく曖昧だ」と、実効性を疑問視している。