平成28年11月7日 i-JAMP
伊原木隆太・岡山県知事「アイデア出すのはタダ」
i-JAMPのトップインタビューの内容を紹介します。
「突拍子がなくてもばかげていても、アイデアを出すのはタダ」。
10月に再選を果たした岡山県(191万6400人)の伊原木隆太知事(いばらぎ・りゅうた=50)は、元百貨店社長の経験を生かし、就任時から県職員に発想の重要性を説いてきた。「思い込みや組織の壁を取り払い、考え方の枠組みを変えてもらおうとしてきた。これからもどんどん良い動きが出てくるのでは」と手応えを感じている。
2013年度から実施している職員の業務改善を共有する「ひとり1改善運動」や、全国知事会で先進政策大賞に選ばれた「手軽にマーケティング調査!県職員が応援します!」は、いずれもコストはゼロ。
予算がなくても工夫を凝らしたり、他の成功例をまねたりする姿勢を評価する。
「役所同士の情報は分かっているが、狭い範囲で終わってはいけない。常にアンテナを張って、業務改善や県民の幸せにつながらないか可能性を考えるよう言い続けたい」と力を込める。
1期目に続き、2期目も教育再生と産業振興を2本柱に掲げた。教育では、小中学校での問題行動の改善や学力向上への取り組みを継続しつつ、就学前教育やグローバル対応に本腰を入れる方針だ。「小1プロブレムなどでつまずく子は家庭での教育が弱い場合が多い。問題が小さいうちから就学前教育などで対処したい」と話し、対象などについて、これから議論していく考えだ。
グローバル対応にも意欲をみせる。日本で仕事をする上でも英語は必要不可欠との認識だ。表現力やコミュニケーション能力を持ち、違う文化の人と仕事できる社会人を育成するため、具体策を打ち出す考え。「2期目は局面転換のきっかけになるので、議論を始めていきたい」と意気込む。
1期目に実績を残した企業誘致では、企業の需要が高い県南の土地をいかに確保するかが課題。高速道路のインターチェンジ近くに土地はあるものの、農地のため簡単には工業団地に転用できない現状がある。「岩盤規制の一つ。他県の知事や国会議員と要望していきたい」と規制緩和を求めていく。
県内企業の約99%を占める中小企業の活性化が産業振興の「本命」と話す。
販売力の弱さが中小企業のネックで、個別ではなく県全体として売り込む戦略を取ってきた。「いかに弱みを補い、強みを伸ばしていくか。企業経営者出身の腕の見せ所だ」と自信をのぞかせる。「産業振興を通じて税収を確保していきたい。大事な岡山の未来に影響を与える仕事をしていることを思い、一生懸命やっていく」。2期目の重責に表情を引き締めた。
〔横顔〕百貨店「天満屋」社長を経て12年に初当選。尊敬する人物は三木行治元岡山県知事。牛丼が好物。
〔県の自慢〕「晴れの国」といわれる暮らしやすい気候。高品質なモモやブドウが国内外で人気を博している。