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ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

プロレスってさ ザ・ブルーザー

2010-01-12 12:30:00 | スポーツ
タキシードが似合うプロレスラー、それがディック・ザ・ブルーザー・アルフィスだった。

もちろん、シルクのマフラーも欠かせない。それとぶっとい高級葉巻があれば完璧だ。彼が高級カジノに豪勢なタキシードを身に着けて現われれば、チンピラどもが列を成す。カジノの用心棒頭のお出ましだい!

そう、どんなに高級なスーツを着ていても、その服の下にある凶暴な体つきは隠せない。頑丈な骨格に、分厚い筋肉の束を巻きつけたような体つき。スメ[ツやボディビルで作った筋肉ではない。肉体労働と町の裏通りで喧嘩を重ねて鍛え上げた体つきだった。

その屈強な身体の上に乗るGIカットに短く刈り込んだ顔つきは、凄みと愛嬌が同居する獰猛な仁王様だった。もっとも私はこの人が笑っている顔を見たことがない。さりとて、いつもしかめっ面であったわけでもない。

強いて喩えれば、全盛期を迎えた雄ライオンが、自分の縄張りを見渡す顔つきだった。実力に裏づけされた余裕と、いつでも来いとの自信を秘めた厚顔不遜な顔つきでもあった。

来日回数はそれほど多くない。だが、これほど印象的なプロレスラーも稀だった。試合の勝敗も覚えていないし、必殺技も記憶にない。覚えているのは、ぶん殴って、ぶん投げて、暴れ回って睨みつける姿だけだ。とんでもない暴れん坊だったことは間違いない。

でも、本当の姿は冷静なビジネスマン。大学フットボールのスター選手だったが、膝を壊してのプロレス入り。常に強面のプロレスラーを演じ続け、ついにはシカゴのプロモーターの座に登り詰め、不動産業を初めとして他のビジネスでも成功を収め、一大産業グループを形成するに至った。

なにせ、シカゴで仕事をするプロレスラーは、ブルーザーが所有するホテルに泊まり、ブルーザーの経営するジムで汗を流し、ブルーザーが役員を務めるタクシー会社のハイヤーでプロレス会場入りをする。もちろん、仕事の後の食事はブルーザーがオーナーのレストランである。ブルーザーはシカゴでは知らぬ人の居ない名士様なのだ。

でも、最後の最後まで強面の顔つきは変わらなかった。とんでもない雷親爺であり、多くのプロレスラーがこの親分にビビッたと語っている。あの気の強い猪木でさえ、新人の頃はブルーザーの前に立つと威圧感があまりに凄くて、その顔を正面から見れなかったと告白していえるほどだ。

男として、ちょっぴり憧れましたね。
コメント
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