ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

さつま揚げ

2010-01-28 12:13:00 | 旅行
やってはいけないと言われれば、やりたくなるのが子供ってもんだ。

とりわけ執拗に言われ続け、それでも止められなかったのが「買い食い」だ。最近はどうか知らないが、私が子供の頃は「買い食い」は目の敵にされた。

学校で何度も教師から「買い食い」は止めるようにと話があったが、こんな楽しいことが止められようか。学校の帰りに友達と立ち寄った駄菓子屋での買い食いは、或る意味子供同士の交際費でもある。

私が好きだったのは、蜜アンズやタコ煎餅、きな粉餅だった。合成着色料やらなんやらがかなり混じっていたとは思うが、美味しいものは美味しい!

「ゴミはちゃんと捨てるんだよ」と駄菓子屋のおばちゃんに叱られながら、先生に見つかりそうもない場所で駄菓子を食い散らかしたものだ。放課後の駄菓子買いこそ、子供たちの特権だと信じていた。

もっとも、駄菓子にもいろいろあるものだと思い知らされたのが、大学一年の時の春合宿だった。宮崎から熊本を経て鹿児島まで200キロあまりを徒歩で踏破する合宿だった。

過疎の村から踏み跡が消えかけた里山を渡り、熊本の盆地を抜けて、鹿児島へ入る手前だったと思う。その日はアスファルトの県道をひたすら歩く一日だった。背中にはテントをはじめ、生活道具一式が巨大なザックに入っているため、30キロを超える重荷を背負っての徒歩旅行は、けっこうシンドイ。

田んぼ脇の県道をひたすら歩いていると、学校帰りの子供たちの集団とすれ違った。我々の眼を惹いたのが、子供たちの手にある食べ物であった。

私もそうだったように、ここでも子供たちは買い食いして、食べ歩きしながらお喋りに余念がない。問題はその食べているお菓子だった。いや、お菓子と思いきや違うようだ。

立ち止まって子供たちに問うと、さつま揚げだと言う。どこで売っているのと訊くと、少し先に見える駄菓子屋を指差す。驚いた、ここでは「さつま揚げ」がお菓子代わりなのか。

日頃、食べ物に頓着しないリーダーのY氏も興味を持ったようで、食糧係りのHに命じて買ってこさせた。で、その場で食べてみたところ、これが法外に美味い。よもや、さつま揚げがこれほど美味しいとはビックリである。

駄菓子屋のおばあさんに「これ、美味いよ!」と伝えると、今日の午前中に作った奴を仕入れたばかりだから、美味しくて当然だよと教えてくれる。

私は今日に至るまで、これほど美味しいさつま揚げを食べたことはない。あの後、鹿児島までたどり着き、現地で解散した後も、いろんなお店でさつま揚げを食べてみたが、あの駄菓子屋ほどの美味さは感じなかった。

旅先で、地方の名産物を食べることは多いが、正直期待はずれであることは珍しくない。何気ない駄菓子屋で美味しい特産物に出会えるとは僥倖だったのだろう。

あぁ、また食べたいなぁ~
コメント (8)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする