ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

おせん きくち正太

2010-01-05 09:49:00 | 
酒はあまり飲まないが、居酒屋で食事をするのはけっこう好きだ。

出来るならカウンターで食べたい。料理人が調理するところを見ながら食べる楽しみがある。無駄のない洗練された手つきで、次々と料理が出来上がる。観ているだけで美味しそうだと思えてしまう。

反面、懐石料理とか料亭の食事は、それほど好きではない。不味いと思ったことはないが、くつろいで楽しんだ覚えがない。妙に緊張を強いられたこともあるし、あまりに形式ばっていて反感が募ったこともある。

本来、もてなしって奴は心をこめてするものではないのかね?

まあ、私が場馴れしていないせいもあると思うが、形式とかマナーの本来の意味が失われている気がする。高額な食材を使った料理を出すことが、最上のもてなしだと勘違いしてないだろうか。

高い食材は美味い。それは当然のことだが、それほど高くなくても心のこもった料理は十二分に美味しいぞ。

グルメとは程遠い私でも、プロの料理人の仕事と家庭での料理が違うことはわかる。その違いは手間というか、下準備の丁寧さにあると思えることが多い。

煮干をつかって出汁をとることは基本だが、家でやるときは手間をかけてもせいぜい頭を取る程度だ。その頭を取らずに水に沈めて冷蔵庫で一晩寝かせて、その上澄みだけを出汁に使うなんて、家庭じゃ出来ないよ。

でも確かに美味しい出汁なんだよね。味覚よりも満腹感重視の私でも分る味の違い。これがプロの仕事だと思う。料理の世界は奥が深い。

単に食材や調理だけではない。店のつくり、店員の質、使われる食器に至るまで心配りされた老舗の料亭、それが表題の漫画の舞台となる一升庵。そこの女主人こそが、その店を体現している。

ちと癖のある絵柄なので、人によっては好き嫌いが出ると思うが、たしかにこんなお店ならば一度は行ってみたい。もっとも私が客として相応しいかどうかは別問題。

料理に関しては、あまり頭でっかちは良くないと思うので薀蓄バカにはなりたくないが、或る程度の教養があったほうが楽しめると思う。ただ、そのある程度の教養が奥深く、底が知れないのが浮「な。

無作法ものの私程度ならば、漫画で楽しむぐらいが丁度いいかもしれない。あたしゃ、一升庵の上客にはなれそうもないな。
コメント
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