新年おめでとうございます。
実は昨年11月の末、事務所の所長が急に亡くなり、事務所を継ぐために、公私共に多忙な毎日を送っておりました。16年前、せっかく税理士試験を合格したものの、勤め先がなく一時期はふて腐れていた私を採用してくれたのが故・佐藤先生でした。
国家試験合格の後に、幾つもの会計事務所を訪ねたのですが、私の成績や経歴よりも、難病歴があることがネックとなり本採用には至らなかったのです。
はばかりながら、私は自分の仕事の才幹にはいささか自信を持っていたので、不採用の連続には本当にめげたものです。病気のことを隠せば、就職は難しくないのは分っていました。
でも、難病って奴は原因も分らず、治療法も確定しないがゆえに難病なのです。私のように不完全に治癒した状態を維持している者は、不完全寛解といって継続しての通院が必要なのです。
当時、既に病状は安定しており、体力がいささか落ちていることを除けば、一日10錠程度の服薬で大丈夫でした。ただ、毎月の通院だけが求められていたのがネックでした。でも、私は難病そのものを恥じてはいませんでしたし、むしろ病気を乗り越えたことを誇りに思っていたので、難病歴を隠す気はありませんでした。
まあ、不採用の理由は、やはり採用する側が私が激務に耐えうるかどうかを疑問視したからだと思います。実際問題、当の私自身がいささか不安に思っていましたから。
しかし、佐藤先生はそのことを危惧することもなく、また毎月の通院も無条件で許可してくれました。後で知ったのですが、佐藤先生も若い頃結核で長期の療養生活を送っており、また40代から糖尿病を患い、病気とうまく付き合いながら税理士業務をこなしていたようでした。
率直にって教えるのは上手でなく、また事務所にじっとしているのもお嫌だったらしく、訊きたい時には事務所にいない困った先生でした。一方、税理士としてはかなりの自信をもっていたようで、正攻法な手段だけでなく、裏技抜け道なんでもござれの自由自在派の先生でもありました。
いささか職人肌の方だったので、教えてはくれませんでしたが、私に見て盗めといった態度で臨んでいたようです。なんでも好きに発言させてもらえたので、私は時には逆らい、ごね、理屈をまくし立てる難儀な部下だったと思います。おかげで自分で考える習慣は、十二分に身についたと思うのです。
長年の闘病生活と高齢から、近年めっきり老け込んでしまい、ここ数年は事務所にもあまり顔を出さなかったので、事務所を任されていた私としては、一人で大いに困惑したものです。
おかげで、一人で考えて、一人で解決する練習にはなりましたが、それでもどこかで所長を頼る気持ちは残っていました。だから病院を訪ねて、病床の所長にグチったりもしていましたが、もうそれも出来ません。
今、こうして一人になってみると、どこかで所長に甘えている部分があったのだと痛感しています。今年は今まで積み重ねてきた努力を結実させる年であり、その真価が問われる厳しい年になると思います。
それは覚悟の上ですが、きっと読書はSFや伝奇、ミステリーに偏りそうな気がします。多分私の気持ちを一番癒してくれるのが読書の時間でしょうから。もっとチャレンジすべき分野はあるのですが、それは仕事が一段落してからにします。
一年後には、今年は充実した一年であったと、ゆったりと振り返れる年にしたいと思います。それでは、本年もよろしくお付き合い下さい。
実は昨年11月の末、事務所の所長が急に亡くなり、事務所を継ぐために、公私共に多忙な毎日を送っておりました。16年前、せっかく税理士試験を合格したものの、勤め先がなく一時期はふて腐れていた私を採用してくれたのが故・佐藤先生でした。
国家試験合格の後に、幾つもの会計事務所を訪ねたのですが、私の成績や経歴よりも、難病歴があることがネックとなり本採用には至らなかったのです。
はばかりながら、私は自分の仕事の才幹にはいささか自信を持っていたので、不採用の連続には本当にめげたものです。病気のことを隠せば、就職は難しくないのは分っていました。
でも、難病って奴は原因も分らず、治療法も確定しないがゆえに難病なのです。私のように不完全に治癒した状態を維持している者は、不完全寛解といって継続しての通院が必要なのです。
当時、既に病状は安定しており、体力がいささか落ちていることを除けば、一日10錠程度の服薬で大丈夫でした。ただ、毎月の通院だけが求められていたのがネックでした。でも、私は難病そのものを恥じてはいませんでしたし、むしろ病気を乗り越えたことを誇りに思っていたので、難病歴を隠す気はありませんでした。
まあ、不採用の理由は、やはり採用する側が私が激務に耐えうるかどうかを疑問視したからだと思います。実際問題、当の私自身がいささか不安に思っていましたから。
しかし、佐藤先生はそのことを危惧することもなく、また毎月の通院も無条件で許可してくれました。後で知ったのですが、佐藤先生も若い頃結核で長期の療養生活を送っており、また40代から糖尿病を患い、病気とうまく付き合いながら税理士業務をこなしていたようでした。
率直にって教えるのは上手でなく、また事務所にじっとしているのもお嫌だったらしく、訊きたい時には事務所にいない困った先生でした。一方、税理士としてはかなりの自信をもっていたようで、正攻法な手段だけでなく、裏技抜け道なんでもござれの自由自在派の先生でもありました。
いささか職人肌の方だったので、教えてはくれませんでしたが、私に見て盗めといった態度で臨んでいたようです。なんでも好きに発言させてもらえたので、私は時には逆らい、ごね、理屈をまくし立てる難儀な部下だったと思います。おかげで自分で考える習慣は、十二分に身についたと思うのです。
長年の闘病生活と高齢から、近年めっきり老け込んでしまい、ここ数年は事務所にもあまり顔を出さなかったので、事務所を任されていた私としては、一人で大いに困惑したものです。
おかげで、一人で考えて、一人で解決する練習にはなりましたが、それでもどこかで所長を頼る気持ちは残っていました。だから病院を訪ねて、病床の所長にグチったりもしていましたが、もうそれも出来ません。
今、こうして一人になってみると、どこかで所長に甘えている部分があったのだと痛感しています。今年は今まで積み重ねてきた努力を結実させる年であり、その真価が問われる厳しい年になると思います。
それは覚悟の上ですが、きっと読書はSFや伝奇、ミステリーに偏りそうな気がします。多分私の気持ちを一番癒してくれるのが読書の時間でしょうから。もっとチャレンジすべき分野はあるのですが、それは仕事が一段落してからにします。
一年後には、今年は充実した一年であったと、ゆったりと振り返れる年にしたいと思います。それでは、本年もよろしくお付き合い下さい。