ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

銀行の職場放棄

2010-11-09 12:35:00 | 経済・金融・税制
以下の文は伝聞情報が主で、私自身は直接確認できなかったことをお断りしておきます。

東京の高級住宅街の近く、お洒落な店が多い商店街の一角に、その銀行の支店はあります。私が噂を耳にしたのは、ようやく夏の暑さがひと段落を迎えた頃。

昨今の銀行の支店はどこもATMばかりで、かつてのように銀行員が対応してくれる窓口は、大きく数を減らしています。ただ、この商店街にある支店は、ATMでは対応できない業務が多く、また富裕層の顧客も少なくない。それゆえ今でも窓口対応をしてくれるので、ありがたい支店でした。

ことろが、ある日訪れると誰もいない。

声を出して呼ぶと、見慣れない銀行員が駆けつけてきて、とりあえず対応してくれる。ところが、たかが手形の入金処理なのに、いつもより遥かに時間がかかる。

いつもなら20数名が居るはずの支店には、どうみても一ケタ台、しかも日頃見かけたことがない顔ぶればかり。一体全体、なにが起きたのだ?

数週間後、そのことの顛末が次第に漏れてきました。なんと、新たに赴任してきた支店長に対する反感を募らせた銀行員たちの集団職場放棄だったという。

私が知る限り、日本の銀行でこのような職場放棄はまったく前例がない。銀行の、しかもメガバンクの支店で窓口業務が放棄されれば、取り付け騒ぎも起きかねない。そうなれば日本全体に波及する金融パニックが巻き起こりかねない前代未聞の不祥事なる。

当然に銀行本店は大騒ぎになり、大慌てで行員を応援に行かせて、かろうじて支店機能を維持できたとのこと。もっとも、その支店の行員たちの職場放棄はその後も続き、完全には元には戻っていないとも聞く。

このお洒落な街の一角にあるこの支店。実は以前から社会の裏勢力との取引が噂される問題支店でもあった。そのため、この支店で働く行員たちは微妙な配慮が要求される、ストレスの多い職場として悪名が高かった。

ちょっと分りづらいかもしれないが、私にはよく分る。この地域はバブル最盛期の頃、地上げと立ち退き、土地転がしの舞台として有名であり、胡散臭い顧客が数多く使う銀行として有名であった。総会屋ご用達銀行と揶揄されることもあったぐらいだ。

あの頃は偽名口座もわりとよく使われていて、銀行自身がそれと知りつつ、地上げや立ち退きに融資することも珍しくなかった。おかげで、バブル崩壊後も筋の良くない顧客口座が少なからず残り、銀行員たちはかなりのストレスを強いられたようだ。

そんな訳アリの支店に赴任してきた新支店長が、無邪気に強引にやったことがその支店の行員たちに過大なストレスを与え、その結果としての職場放棄であったらしい。

しばしば新聞紙面を賑わす銀行員の顧客預金の横領などがあると、銀行法24条により金融当局への報告義務が生じる。だからこそ、銀行は内部監査に神経質になる。

しかし、銀行員の職場放棄は、顧客預金の横領などとは比較にならない大事件だ。ただでさえ不況の風が吹き止まぬなかで、銀行の取り付け騒ぎなどが起これば金融不況の始まりとなりかねない。

だからこそ、この銀行は今回の職場放棄事件の隠蔽に全力を注いでいるらしい。本来ならば、トップニュースの扱いであってもおかしくない事件だが、私が知る限り大手新聞、TVはまったく報じていない。銀行の必死の隠蔽工作が功を奏しているのだろう。

でも、噂はどこからともなく漏れるもの。いくら世界規模のメガ・バンクとなっても、あいも変わらず不祥事を隠蔽する体質は変らないようです。
コメント
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