ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

グラップラー刃牙 板垣恵介

2010-11-24 12:20:00 | 

一番強い格闘技は何?

世の中には数多の格闘技がある。柔道、相撲、空手、合気道、日本拳法、少林寺拳法などが日本における代表的格闘技だ。しかし、世界は広い。世界中に普及したボクシングを筆頭にブラジルのカポエラ、フランスのサバット、タイのムエタイ、シナの中国拳法、モンゴル相撲、ロシアのサンボと枚挙に暇が無いほどだ。もちろん、他にも未知の格闘技は数多く存在する。

なかでもブラジルのグレーシー柔術は革新的だった。日本で生まれた柔術が、遠くブラジルの地で異質の進化を遂げていた。20世紀後半、世界各地の競技会でグレーシー柔術は猛威を奮い、その結果として総合格闘技というジャンルが、新たに生み出された。

ところが日本という国は不思議なもので、総合格闘技という言葉が作られる前から、概念としての総合格闘技が存在していた。

あまり知られていないが、日本拳法などは半世紀以上前から、殴る、蹴る、組む、極めるといった総合格闘技の概念を実現していた。その他にも異なる格闘技道場出身者たちの私的な交流が少なからずあったらしい。

私が十代の頃、小金井の澤井道場の奴らには手を出すなと先輩から警告されたことがある。当時はさっぱり分らなかったが、道場破り歓迎の荒っぽい実戦中国拳法の道場であったらしい。ただ、一部の高段位者にしか知られていない謎の道場としての噂のほうが有名で、誰もその実態を知ることはなかった。

その澤井道場に乗り込んだ経験があるという異色の漫画家が、表題の著者である板垣氏だ。ボクシングの国体選手であり、少林寺の心得もあった板垣氏であるが、取材とはいえ実際に澤井道場の実力を我が身で確かめた根性の持ち主である。

けっこう手荒い歓迎を受けたらしく、そのような格闘技の実地の経験が活かされているが故に、表題の漫画はえらく説得力がある。

もしボクシングと空手が戦ったらどうなるか、あるいはプロレスラーと横綱が戦ったらどうなるのか。そんな夢のような対戦が漫画の世界で実現した。しかも、漫画家自身が幾つもの格闘技の実践者であるだけに、その表現力は相当なものがある。

週刊少年チャンピオンで長く連載されていたが、メジャーな人気が出たのはここ十年ぐらいな気がする。既に2回タイトルを変えて、今も連載は続いている。格闘技ファンなら必須の漫画であることは間違いない。

それにしても主人公・刃牙(バキ)の親爺さん、強すぎる。一体どんなエンディングを迎えるのが、今から待ち遠しくて仕方ない。この結末を観ずして、三途の川は渡りたくないものです。

コメント
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