サッカー好きな私だが、オリンピックのサッカーにはあまり関心がない。
理由は簡単で、しょせんU23の世界大会の二番煎じに過ぎないからだ。まァ、国によっては23歳以上のオーバーエイジにフル代表のスター選手を入れて、優勝を狙ったチームもある。
今回、銀メダルで終わったブラジルが、その典型だが試合そのものは、それほどレベルが高いとは思わなかった。ワールドカップには遠く及ばない。実際、オリンピックで金メダルを獲ったチームといえども、そのままでワールドカップには通用しない。それがサッカーの世界の現実だ。
ただし、女子サッカーは事情が異なる。まだ歴史が浅いせいもあるが、女子ワールドカップと遜色がないレベルでの試合が行われている。今回、日本チームは初めて銀メダルを獲得したが、これは十分に快挙だと言える。
では、男子はどうか。
どうしても金が欲しかったブラジルは、フル代表クラスのネイマールやフッキを出場させたが、他のチームでは目立ったスター選手の登用は見られなかった。これは日本も同じで、本来出場資格のある香川はもちろん、フル代表の中心である本田も長友も遠藤も入れていない。
今回は、現在フル代表で若手のDFとして活躍している吉田、徳武を使っているが、本気なら名古屋のトォーリオか鹿島の岩政を使うべきだった。準決勝、3位決定戦のいずれも、若手中心のDFに甘さが出ての失点であることからしても明らかだと思う。
ちなみに今回、金メダルのメキシコは、DFの要にベテラン選手を登用している。この辺りが、まだまだ未熟な日本サッカーとの違いだと思う。
では、攻撃はどうだったのか。今大会で注目されたのは、俊足FWの永井だ。たしかに足の速い選手だが、まだまだ決定力に欠ける。実を言えば、永井は控えのFWだった。アジア予選では、ほとんど途中交代でしか出場していない。
なぜなら、今回関塚監督が採った戦法は、アジアでは通用しないからだ。アジアでは、ほとんどの国が日本に対して守備を固めてくる。俊足の永井が走りこむスペースはなく、終盤相手が疲れた時に活用する控えのオプションに過ぎないからだ。
今回の予選リーグで永井が活躍できたのは、相手が日本くみやすしとして攻めてくれたからだ。DFに十分なスペースがあれば、俊足の永井は大いに活きる。しかし、いざ本選に入ると、相手が警戒してスペースを与えてくれない。だから、メキシコ戦、韓国戦、いずれも永井は活躍できなかった。
この辺りが、関塚監督をはじめとして日本人監督の限界だと思う。
実際、ザッケローニ監督は今回のA代表招集に際して、永井は呼んでいない。当然の判断だと思う。
ただし、今回の関塚ジャパンの4位獲得は、出来過ぎといっていいほどの快挙であるのも事実。私の予想は予選リーグ敗退だったしね。韓国に負けたのは、ちょっと悔しいけど、あの世代は谷間の世代と揶揄されたとおり、いつもアジア予選で敗退して世界大会には縁がなかった弱小世代。
でも、Jリーグで鍛えられてのオリンピック出場であり、しかも4位。私としては悪くない結果だと考えています。むしろ、今回で天狗にならず、悔しさをばねに精進することを期待できるので、良かったと思うほど。
そろそろJリーグも上位争いが激烈になってきているので、ロンドンから帰国した選手たちにも、これまで以上に活躍して欲しいものです。