人気のあるアマチュア・スポーツほど闇が深い。
その典型が体操であり、マラソンではないかと思っている。かつては日本のお家撃ニ云われた体操だが、少し前までの低迷ぶりはひどいものだった。幸い、男子体操が復活し、メダルを連覇したりと結果を出していたが、女子は残念ながら低迷が続いている。
その女子体操界を近年裏で牛耳りながらも実績を出せず、それでいて権力を手放さなかったのが朝日生命の塚原夫妻である。ボイコット事件などがありながら、塚原夫妻との関係を重視した新聞、TVが見て見ぬフリをしていた。
ボイコット事件自体は1990年代だというから、日本の体操界の低迷には、マスコミも一役買っていたと私は言いたい。宮原選手のコーチの暴力的指導(これは、これで事実として問題ではある)に端を発した、宮原選手の必死の訴えにより、ようやくマスコミが隠し続けてきた塚原夫妻の横暴ぶりが暴露された。
これだって、今さらの話である。マスコミが知らなかったはずがない。知っていて、見て見ぬフリをしていただけだ。
これは新聞、TVを問わず、スメ[ツ担当の記者はその競技出身の選手上がりが多い。体操ならば、記者自身が体操選手であったことが望ましい。競技が違っても、出身大学、出身高校が同じならば良しだ。
学生運動部出身の方なら分かると思うが、上下関係の厳しい運動部では先輩・同期・後輩の付き合いが深いことが多い。この人脈こそが、体育競技を取材する秘訣である。
同じ大学では弱いが、同じクラブの先輩後輩の関係を出して取材に来られると、本来迷惑な取材といえども選手は無下にできない。スポーツの強い大学ほど、マスコミ業界に人材を送り込んでいる。
持ちつ、持たれつが、スポーツ業界とマスコミとの関係であり、この腐れ縁がスメ[ツ業界の醜聞を押し隠していただけだ。
ちなみに、今回の宮原選手の告発だが、これには裏があると私は思っている。何故なら宮原選手も、告発された塚原夫妻も同じ日体大である。ただし塚原夫妻は朝日生命クラブを牛耳るが故に、日体大OB人脈との関係は、いささか複雑だと聞いている。
想像だけど、おそらくは日体大OBの派閥争いや、他の有力スポーツ大学が日本体操協会の舞台裏で暗躍しているのではないか。マスコミの報道の仕方も、妙に限定的というか、対象を絞った記事になっているのが、私には不自然に思えて仕方ない。
私は日体大が日本のスポーツ業界に多くの優秀な選手を送り込んできた実績を軽んじるつもりはないし、朝日生命がバブル後の厳しい時期も、体操業界を支援してきたことも評価している。
しかし、その一方で必ずしも日本体操界のためにならないこと、つまり役員人事とか後援するスポンサー選定とかで妙な動きをして、却って混乱と衰退を招いてきたことも知っている。大手の新聞、TVが報じないからといって、皆が知らないと思ったら大間違い。
私自身、大学運動部の出身なので、詳細を書くことは避けざる得ない事情は分かっているつもり。でも、長年隠し続けたが故に、却って闇は深くなり、醜聞は取り返しのつかないレベルまでになっている。
体操業界のスキャンダルを賢しげに報じている新聞、TVですけど、私からすれば彼らも共犯者です。知っていて、見て見ぬフリをしてきた結果が、これですから。でも、記事を読む限り、そこに羞恥心とか報道者の矜持のようなものは一切感じられませんね。
追記 本当はマラソンについても書きたかったのですが、また別の記事にまとめます。