何気にヤフーニュースを読んでいたら、関西のほうで野焼きに反対する住民の記事があった。
春先になると農家は、冬枯れの農地に火を放ち、堆積した有機物を無機物に変える。つまり農作物の残りや雑草を燃やして炭にすることで、農地を綺麗にする。無機物は天然の肥料となるし、害虫の駆除にも有効である。
長年行われてきた農家の知恵でもある。日本だけでなく、世界中で行われている。焼畑農業もその一つである。輪作をすることによる農地の疲弊を防ぐ役割もある。
しかし、農地を潰して住宅地を増やしてきたことで、この野焼きに対する不満が住民から出るようになり、農家や自治体が困っている。
たしかに野焼きによる煙は臭かろうと思うし、洗濯物に煤がつくのは不快だと思う。でも、野焼き自体は、日本では古来から行われてきた伝統てな行事であるばかりでなく、農薬や化学肥料を減らす環境に優しい手法でもある。
都市が拡がり、宅地化された元・農地に移り住んできた新住人にとって、野焼きは迷惑にしか感じ取れないのであろう。それは分かるが、行政の仲介により、野焼きをする日時を予め公表するなど、なんらかの対応で対処できないものかと思わずにいられない。
洗濯ものや、部屋に野焼きの臭いが付くのは不快だと思う。それは分かるが、野焼きは長期間やるわけではない。また昔から農業で暮らしてきた農家からすれば、伝統の野焼きを否定されるのは感情的に納得できないだろう。
天候の問題もあり、困難もあるだろうが、野焼きの日程を定めてやれば、ある程度問題は解決するのではないか。おそらく100人が100人とも納得する正解はないだろう。
だからこそ、話し合いによる妥協が必要なのだと思う。古くからの住人と、新しい住人との諍いの面も強いが、どちらにも言い分はある以上、役所などが仲介するしかないように思う。
でも本来、政治が介入すべき問題である。でも、最近の地方議会の政治家様は、憲法改正反対とか、基地問題とかには勇ましい発言をするが、案外と地元の厄介事には腰が引けている人が多い。
多分、この関西のケースはその典型ではないかと思う。自らの正義を主張するばかりが、政治家の仕事ではないはずだ。地元の問題を解決に導けない政治家が、国政問題に切り込もうなんて甘いと思う。
厄介事を押し付けられた役所も大変だわなァ。