ヌマンタの書斎

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再び地政学を

2019-10-30 11:55:00 | 社会・政治・一般

地政学とは、地理的な環境が国家に与える政治的(主に国際政治)、軍事的、経済的な影響を、巨視的な視点で研究するものである。イギリス、ドイツ、アメリカ合衆国などで国家戦略に科学的根拠と正当性を与えることを目的として発達した。(wikiより引用)

戦前の日本はともかく、戦後は禁止されたとしか言いようがないのが地政学である。最近は知らないが、私が十代の頃は亜細亜大学くらいしか、講座がなかった。大学教育に於いて無視されたのは、やはり戦争につながる学問であるからであろう。

実際問題、アメリカはこの地政学を強く信奉しており、その国防戦略は今も地政学的見地から構成されている。軍事に密接に関連した学問であるが故に、日本ではタブー視されているが、私は大学、とりわけ国立大学では必修とするべきだと思っている。

地政学の学問的な価値はともかく、現実の政治に反映している以上、無視するのはおかしい。日本がアメリカの軍事的従属下にある以上、アメリカの国防哲学とも云える地政学を学ばないのはおかしいと思う。

地政学にはいくつかの諸派があるが、一つの概念として大陸国家と海洋国家という分類を挙げている。ドイツやフランス、ロシアなどが前者の代表ならば、後者はイギリスとアメリカであろう。日本も海洋国家に分類されている。

イギリスや日本は列島国家であるので当然だが、半島国家であるイタリヤやスペイン、ポルトガル、デンマーク、スウェーデンなども海洋国家である。

ところで、私が不思議に思っているのが朝鮮半島の国家である。この半島にある以上、海洋国家だと分類したいが、実際には大陸国家としての性格が強かった。新羅、李氏朝鮮、そして現在の大韓民国も北朝鮮も大陸国家である。

地政学的見地からすると、本来的には海洋国家の資質は十分である。しかしながら、古代の一時期を除いて、ほぼ大陸国家だと断じて間違いない。

その例外と云える時期が、1世紀から6世紀である。元々朝鮮半島は複雑な海岸線を持ち、小さな島が点在する。このような地形は、必然的に海上交通が発達する。事実、三韓といわれた馬韓、辰韓、弁韓などの古代国家があったとされる5世紀までならば、日本やシナとの海上での交流があったとされる。

しかし、新羅が百済、高句麗を制して以降、海洋での活動は激減し、ほぼ大陸国家としての政権(高麗、李氏朝鮮)が続くことになる。私はこれが不思議でならなかった。

元々の疑問は、壬申の乱以前、古代の日本は朝鮮半島に何度も武力干渉を繰り返している。その理由がよく分からなかった。そこで幾つか仮説を立ててみた。

日本に米作を持ち込んだのは誰か。従来はシナ東北部から朝鮮半島を経由して米作は持ち込まれたとする説が強かった。しかし、遺伝子工学の発達により、これは否定されている。

現在分かっているのは、シナ南部での水稲の遺伝子が、日本及び済州島、朝鮮半島南部の水稲の起源であることだ。そこで一つの仮説を考えた。シナ南部およびインドシナ半島に今も暮らしている少数民族である「苗族」が海流に乗って日本及び朝鮮にたどり着いた。つまり、日本と朝鮮半島南部には、祖先を同じくする苗族の人脈があったと考えてみた。

そう考えると、なぜに古代の大和朝廷が朝鮮半島に干渉する理由になりそうだと思ったからだ。しかし、最近はこの考えに否定的である。もし苗族だとしたのならば、シナ南部とも交渉を持とうとするはずだからだ。しかし、その形跡はない。

むしろ、古代において米作の技術を持ちながら、何らかの理由でシナから逃げ出した少数民族と考えたほうが合理的だと思う。その一方で、それと相前後して、シナの山東半島界隈から、日本列島及び済州島、朝鮮半島南部に移ってきた民族がいたことを仮定してみた。

この少数民族は、日本、朝鮮半島、山東半島を船で行き来していた可能性が高い。後の朝鮮国家とは異なり、この古代の三韓と言われた国家は、海洋国家としての性格を有していたと推測される。後述するが、その可能性を示す遺跡や装飾品などが発見されているからだ。

だが、苗族同様、この少数民族も消え去ってしまった。いや、吸収されてしまったと思われる。水稲の育成技術や、高度な技術などを持ってはいたが、日本でも朝鮮でも異民族として征服されてしまったと思われる。

特に朝鮮半島では、三韓と言われた国々に吸収され、やがて新羅に征服されて、完全に朝鮮民族との同化を強要された可能性が高い。私がそう思うのは、朝鮮半島の南部に対する差別意識が今も残っているからだ。

太平洋戦争の敗戦後、半島出身者たちは一度帰国している。しかし、真っ先に日本に戻ってきたのが南部の出身者、とりわけ済州島の出身者であった。半島での差別意識の強さを厭い、日本に舞い戻ったとされている。

何故に朝鮮では、南部(全羅南道とか光州とか)出身者は差別されるのか。やはり、かつては異民族であったからではないかと思う。いくら朝鮮語を話し、朝鮮の風習に染まったとしても、元は違っていたとの意識は残り、それが差別につながったのだと推測できるからだ。

かつては海洋航海の技術を持っていたが、大陸国家としての性格が強い新羅や高句麗、高麗、李氏朝鮮は沿岸警備以外の船舶の活用をしなくなってしまったと思われる。それゆえに、朝鮮半島の国家は海洋国家とはならずに、大陸国家としての性格が強いのだと思える。

このような見地から、海洋国家としての性格を持つアメリカ、日本とはそりが合わないのも当然ではないかと思う。一般教養レベルでも良いから、大学、とりわけ国立大学では、地政学を再び講座に復活するべきだと思いますよ。

コメント
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