覚えている人は少ないと思う。
「ウルトラQ」、「ウルトラマン」に続く第三弾のウルトラシリーズが実は表題の作品でした。ただ、期待ほどの人気作ではなかったようで、再放送も少なめ。そのせいで私の同世代でも覚えている人は少ない。
今だから分るが、この作品の元ネタはアメリカのスペースオペラ「キャプテン・フィーチャー」だ。私はエドモンド・ハミルトンのSFが好きだったのですが、正直当時は気が付かなかった。
そのくらい、作品のレベルに差があった。一番の違いは、キャプテン・ウルトラが、正義の味方対宇宙怪獣であったことだ。事実、私はバンデル星人などの怪獣はけっこう好きだった。対怪獣バトルがメインなのは、子供向け作品なので致し方ないのだが、円谷プロの産み出す怪獣たちとは一味違うので、記憶に残っている。
ただ、この作品はけっこう迷走したとも思っている。なかでもキャプテン・ウルトラを助ける仲間の一人であるキケロ星人のジョーがシリーズ中途で故郷の星に帰国している。実際は子供たちに人気がなかったからで、替わりに女性のアカネ隊員が入ったりしている。
実を言うと私が一番覚えているのはオープニング曲である「宇宙マーチ」。えらく軽快な曲で「シュピーゲル、シュピーゲル、シュピーゲル、1,2,3~♪」と早口で歌われている部分は未だに覚えている。作曲は富田勲なので納得である。
シュピーゲルとは、キャプテン・ウルトラが搭乗する宇宙船の名で、私の知る限り、3機に分かれて、更に合体もする初めての宇宙船である。後のゲッターロボの発想の原点ではないかと疑っている。
またこの作品は、東映が初めて取り組んだ特撮TVドラマであり、この時の経験が後の「仮面ライダー」などに活かされている。その意味でも重要な位置にある作品なのだが、如何せん人気がイマイチであり、忘れられた特撮作品となっている。
この記事を書くにあたり、ネットであれこれ調べたのだが、一番驚いたのは主役のキャプテン・ウルトラを演じていた役者さん。どこかで見た事あるなぁと思ったら、時代劇で悪役代官を演じることの多い中田博文さんだった。
どうやら、子供相手の正義のヒーローよりも、大人向けの悪役のほうが向いていたらしい。