古来より国を建てるは武将であった。
当然にその国を支配する政府は軍事政権である。軍事政権は国力を一つの方向に収束させるには、最も効率の良い方策である。しかし、その国を富ませる、すなわち経済政策は苦手だ。
その事を分かっている武将は、政治の実権を武人から文民官に委ねるようになる。これは案外と難しく、秀吉が日本統一後に石田三成ら文官に政治のかじ取りを任せたことが、結果的に加藤や福島ら武人らを徳川方に走らせたのも一例である。
これは日本に限らず、武人から文官への権力移行はどの国でも軋轢を招く。しかし、近代以降民主主義に基づく選挙という手段により政権を取ることが可能になる。時代はその民主主義の生みの親である欧米が中心である。
欧米とかかわりの深い国々は、直接あるいは間接的に民主主義への移行を迫られるようになる。日本のマスコミは、軍事政権=悪、民主主義政権=善だと無知に無邪気に無批判に思い込んでいる。
その国の実情を勘案して判断することが出来ていない。だから軍事クーデターがあると悪だと思い込んで報じるし、民主主義政権のすることは正しいと勝手に思い込む。
本当にそうなのか?
その典型例が隣にあると私は考えている。元々、古来より日本を蛮族として見下してはいたが、戦後の南コリアの大統領は軍人出身者が多いだけに、むやみと反日政策など取らなかった。
旧・日本軍出身者も多く、また朝鮮戦争やヴェトナム戦争従軍経験のある実戦経験者は、リアリストであり、現実を直視することが出来る。いや、戦場で生き残るためには当然のことである。
だから軍人出身の南コリア大統領は、日本との国力の差を直視し、安直な敵視政策など表に出す愚は避けていた。それがおかしくなったのはソウル五輪以降、選挙により民間から大統領が選出されるようになって以降である。
漢江の奇跡と呼ばれた経済成長により自信を付けたが故に、持ち前の中華思想が前面に出てきて、反日どころか仮想敵国としての日本を意識した政策を打ち出すようになってきた。
ここで思い出して欲しいのは、当時世界最強であったモンゴル帝国に6度も反抗して遂に滅んだ高麗王朝である。
高麗は、隣国のシナの宋王朝の朝貢国だけに、その影響を多大に受けている。宋王朝は歴代のシナの王朝のなかで最も文化的に繁栄した国である。その一方、地方軍閥により苦しんだ過去の歴史への反動から軍事力の弱い王朝でもあった。当然に宋王朝は文官主導の国家であり、高麗もまたそれに倣った。
高麗は歴代のコリア王朝のなかでも文化面で優れた業績を残している。なかでも高麗青磁の美術品としての価値の高さは現代でも十分通用するほどだ。その一方で、軍事面では制約が多く、文官の圧迫が激しい王朝でもあった。
軍事面で弱い宋に対し、契丹族の遼、女真族の金、そしてモンゴル族といった精強な蛮族たちに囲まれているにも関わらず、平然と中華思想に基づく差別意識を丸出しにして、あげくに滅んだのが高麗王朝である。
現在の朝鮮半島を巡る情勢をみてみれば、決して安穏と出来るはずがない。核兵器を持った世界最貧国の北コリア、南下政策を捨てきれないロシア、半島は本来シナの領地だと教科書に描いているシナ、そして民主主義国家の盾ナあり、世界警察を気取るアメリカとその手下の日本に囲まれている。
どう考えても、軍事的政治的に不安定な地域であり、南コリア単独での生き残りは難しい。この場合、最も強いものに付くのが弱者の生き残り戦略の基本であろう。実際、国内にはアメリカ軍の駐留基地があり、軍事的にはアメリカ側であることは明白だ。
しかし、経済面ではシナ頼りであるのも事実。そのくせ技術面では西側頼りというアンバランスな状況下であるにも関わらず、肥大したプライドが栄誉ある中立、世界の大国を操るバランサーだと強弁させる。だから事実が見えてこない。
はっきりいって国家存亡の危機の二歩手前だと思える。半世紀前ならば軍事クーデターが起きても不思議ではない。しかし、幸か不幸か今の南コリアの軍隊は実戦知らずのお坊ちゃまの見栄っ張り集団である。
だから平然と今の南コリアには不要な武器を欲しがる。半島国家で外洋に出る余裕のないコリアに空母は不要だと思うが、日本が軽空母を持ったが故に、対抗心から欲しがらずにはいられない。
幸い、国家予算に余裕がないので、空母建設にGOサインは出てないが、軍部とマスコミの一部は欲しい、欲しいと喚いている。こうしてみると、貧困国である北コリアのほうが、よほどマシに見えてしまうから不思議だ。まァどちらも信用皆無ですけど。
ぶっちゃけ本音をいえば、朝鮮半島には大陸側(シナとロシア)と海洋側(アメリカ)との緩衝地帯であってくれれば十分なので、国が自滅するような馬鹿はほどほどにシテほしい。
だから積極的に関わることなく、冷たく静かに距離を置くのが一番のコリア対策だと考えております。