ヌマンタの書斎

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報道したくない自由

2023-09-06 12:27:01 | 社会・政治・一般

私は自他共に認める芸能音痴だ。

日頃TVを視ないので致し方ない部分もあるが、興味がないものは昔から覚える気もなければ、目に移っても記憶に残らなかった。そんな私でさえ芸能事務所であるジャニーズのホモ疑惑については知っていた。

自分でも不思議なのだが、既に高校生の頃には知っていたと思う。どこで知ったのかは私も覚えていない。ただ、若い女性の芸能界への憧れと、そのための肉弾営業というか枕営業の話はわりと聞いていたので、当然に男性にもあるだろうとは思っていた。

私自身は正統派のスケベで男色には興味はないが、小田急線沿線にその手の雑誌の発行元出版社があったので、たまに雑談で話題に上がることがあった。多分、そのあたりが情報源だろうと思っている。

ただ自分から売り込むならともかく、芸能プロダクションの悪い大人の欲望のはけ口にされる若い子は少し気の毒に思っていた。男性は知らないが、女性ならば幾人か見かけたことがある。当時、新宿の深夜喫茶でバイトしていたころ、その手の性質の悪い面接というか面談の打ち合わせにその店が使われることがあったからだ。

店長から「見ざる聞かざる言わざる、だぞ」と半ば脅し口調で強く言われていたので、黙って見過ごしていた。浪人生の頃だったので、ポケットにねじ込まれるお札を突き返す勇気もなく、ただ嫌なものを見たと思っていた。

多分そのころだと思うが、ジャニーズ事務所に関する黒い噂を聞かされたのは。正直言うと、不快以上に関わりたくない気持ちが強かった。そこまでしても売れたいのかと思うと、怖い世界だとも思っていた。

証拠もなく、根も葉もないただの芸能裏話として聞き流していた。それが今から40年近く前の話である。それが今になって醜聞として世間を賑わせている。

当のジャニー喜多川氏の死後に噴出したことからして、後継者には醜聞を抑える力量がなかったのだと思うが、それにしてもマスコミの対応は不愉快だ。

以前から日本のマスコミは、報道の自由を高らかに謳うけれど、本当は自分たちが報道したいことだけを報道する自由に過ぎないことが、今回の事件でより鮮明になったと思う。

マスコミ、とりわけ芸能担当記者はほぼ間違いなくジャニー喜多川氏が若い男の子を欲望の毒牙にかけていたことは知っていたはずだ。知っていても決して報じなかった。推測だが、人気タレントを数多く抱えるジャニーズ事務所から敵視されたくなかったのだろう。また自らをジャニー喜多川氏に差し出すことで芸能人として出世街道を歩んだことを誹謗する気になれなかったかもしれない。

しかし、その一方でジャニー喜多川氏の性暴力に傷つき、芸能界から立ち去る少年たちが居たことも知っていたはずだ。その残酷な事実を知っていても報道しない自由を行使したのが芸能担当記者であり、出版社編集部であり、TV局であったはずだ。

私からすると、ジャニー喜多川氏の共犯者である。今、私は珍しくも芸能ニュースをみている。どの面下げて、この醜聞を報じるのか。そこに自責の念はあるのか。しばらくは、意地悪な目線で報道を追い続けようと思っています。


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