バブル崩壊のあおりを受けて破綻した長期信用銀行(現・新生銀行)、通称長銀を長く支配していた元頭取・杉浦敏介氏が死去されたとの報道がありました。長銀の天皇とまで称された人物であり、政界とも裏社会とも深い繋がりを持った人物でもありました。
破綻の最大の責任者として、大きな責任があるはずの人物です。にもかかわらず長銀から9億、関連企業のを合わせれば30億近いといわれた退職金をせしめてバックレた人物でもあります。あまりに酷いので再生機構から私財弁済を求められ、何件もの裁判を起こされている人物でもあります。にも拘わらず、2億ちょっとの退職金返還で誤魔化した人物でもあります。多分、本人は自分が、自分だけが悪いわけじゃないと思っていたのでしょうね。責任感のなさは、日本のエリートの特徴ですからね。されど、まったく理がないわけでもない。
もともと長銀は政府の政策の受け皿でもあり、通常の都市銀行とは異なる立場にあった存在でしたが、その破綻処理には、不透明な噂が絶えませんでした。なぜ外資に売られたのか?しかも格安の値段のうえ、譲渡後の特約まで付与されて売られたのか?すべての謎を隠しもったまま、杉浦は死後の世界へ旅立ってしまいました。
以下の文は、すべて私の独断と偏見であり、まっとうな証拠資料に基づくものでないことは、予めお断りしておきます。
長銀は元々国策銀行です。政府の長期的視点に基づく数々の事業に資金を提供することが、その主要な目的でした。一言で言えば公共事業及びその関連事業です。政府の金が長銀を通じて、様々な関係者に流れるように仕組まれたものです。主役はやはり政治家、いや政治業者というべきか。政治家のファミリー企業であり、支援企業へいかに金を流すかが政治家の腕の見せ所でした。そこに介在して、そのおこぼれに預かっていたのが、官僚OB及び天下り先企業体でした。更にその先でお口を空けて待っていたのがゼネコンであり、不動産デベロッパーです。
そのうえ、その事業を円滑に行う為と称して、金の匂いに釣られてたかってきたのが暴力団を始めとする裏社会の人間たちです。この4番目の主役が登場したのが何時ごろなのか諸説ありますが、私の実感では高度成長期であった気がします。主に土地買収や補償金絡みで、その仲介役として現れたはずですが、当時は脇役であったと思います。その脇役が大きく出てきたのがバブル経済でした。
バブル経済という甘く腐ったお金の流れに、政治業者、官僚OB、ゼネコン、やくざの4者がたかり、すすり、しゃぶり尽くしたのは、知る人ぞ知る事実でしょう。それゆえ、バブル崩壊による不良債権処理は、その主要な部分がなかなか表に出なかった。いや、出す訳にはいかなかった。
旧・長銀は本来破産処理すべき案件でした。裁判所の管理下で、法に基づく公正な処理が必要なほど、腐ったものでした。しかし、それを嫌がる者たちがいた。もし公正な処理をされると、自らの名前が表に出てしまう。それゆえ破産には出来なかった。本来なら自分たちの手の届く日本の都市銀行に押し付けたかったのですが、都市銀行も破綻寸前で余裕なし。それゆえ外資に身売りせざる得なかった。しかも大きな事。までつけてやって・・・・
いったい誰が破綻した長銀の処理の道筋をつけたのでしょうね。少なくとも故・杉浦氏単独では到底無理。ついでだから書いておくと、杉浦氏のお子さん、お孫さんの姻戚関係は、永田町、霞ヶ関の住民がゴロゴロいます。そのことは大手マスコミの諸氏はご存知のはずなんですけどね。
多分、今回の杉浦氏の死に安堵している方々はかなり居ると思います。死人に口なしなのは当然ですが、故人の犯した罪を追及しないのは、日本のマスコミの麗しき美徳ですからね。