資本金1円で会社を作れる法律は、既に国会を通過し、2月始めに法務省令も出され、後は実施を待つばかりです。
この安易な会社設立による節税を規制する法案も、現在第164国会に上程され、おそらく原案とおり通過するでしょう。この法案は、法人税法第35条「特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入」として新設されています。その内容は、オーナー社長の給与所得控除額を利益に加算して課税所得とするといったものです。つまり、オーナー社長の給与の一部を必要経費として認めないことです。
要するに実質1人会社による、節税に待ったをかける目的で作られた法律です。この法律自体は、今年4月以降の適用となるため、まだ詳しい内容は明らかになっていないのですが、厳密に適用されると、相当な課税強化になるのではと警戒しています。
私どもも、この適用を免れるスキームなども調べていますが、個人事業の見直しも有効ではないかと考えています。いずれにせよ、会社を作って節税といった安易なプランは、今後は難しくなるでしょう。
それにしても、霞ヶ関のお偉方の考えることは、いつだって「あめと鞭」ですね。
日本の所得税は、長いあいだ累進課税制度を採用してきました。要するに稼げば稼ぐほど、税率が高くなり、納税負担が重くなる制度です。
それゆえ、ある程度稼ぐ人ほど会社を設立して、会社から給与を貰い、事業利益は一定税率である法人税で納税するスタイルが定着していました。
あまりに高すぎる所得税の税率は、必然的に法人化を加速させ、町の八百屋さんまでもが会社となり、節税を図る始末でした。しかし、消費税という大型間接税の導入により、直接税である所得税、法人税の税率はかなり下がりました。そのために、現在は必ずしも法人設立による節税効果は薄れつつあるのが実態です。
そのため私どもの事務所では、個人事業か会社設立かを税制面からの有利不利の比較をした上でアドヴァイスするようにしていますが、近年目立つのが安易な法人設立です。設立一年目から年商数千万円を予定しているなら構わないのですが、数百万程度の売上しか見込めないなら、法人化は明らかに不利です。却って税負担が重くなり、資金面で負担になってしまうのです。
3年ほど前から、資本金一円でも会社が作れるようになりました。ただし5年以内に株式なら1000万円、有限なら300万円に増資しなければなりません。事業を始める以上、数百万の資金投下は当然であり、資本金を1円にする意味が私には理解不能でしたが、これに安易に乗じてしまった方も少なくないようです。
ところが、今年の5月からは増資の縛りなく、資本金1円でも会社が設立できるようになります。従前の1円会社も定款変更で増資する必要がなくなりました。それでも、私は未だに疑問を持っています。本当に資本金1円でいいの?
大体、会社設立登記だけでも30万から50万程度かかります。自宅を会社所在地にしても、運営維持のための出費は年間100万以下なんて、まず無理でしょう。意外にお金がかかるものですよ、金儲けはね。業種にもよりますが、最低でも年間500万程度の持ち出しは覚悟して欲しいものです。
資本金1円で会社を作るのは簡単でしょう。難しいのは会社を維持していくこと、つまり事業を軌道に乗せていくことです。資本金1円の会社に対する対外的な信用は極めて低いものとならざる得ない。私はこのような安易な起業を勧める風潮には、どうしても同意できません。
直訳すれば、遺言状です。弁護士を主人公にした法廷ものでは著名なグリシャムですが、今回の作品はいささか趣向が変わっています。
舞台の半分くらいが、南米の大湿原での冒険譚ですから、従来の作品では見られなかった場面設定です。アル中歴のある弁護士を、そのような緑の魔境に放り込み、散々な状況に置くグリシャムの筆のさえには、思わずニヤリとします。それにしても弁護士と冒険って、実に似合わない。だからこそ、面白かったのですがね。
どんな結末が待ち受けているか、わくわくしながら読んでいました。この忙しい時期ですので、電車の中で読むのが精一杯でしたが、上下二巻あっという間に読みきれましたから、たいしたものです。ただ今までのグリシャムの作品に比して、少し軽く感じたのも確かです。読みやすかったのも事実ですが、少し物足りないかも・・・
先だってのアメリカとの親善試合で、コテンパンにされたジーコジャパン。国内でのフィンランドとの親善試合に勝利して、ようやく本年初勝利を挙げたようです。私はダイジェストでしか試合を観ていませんが、あれは勝つことが決まっていた試合と言うべきでしょう。もし、引き分けなんぞに終わったら、大恥もいいところ。なにせ勝つ気が乏しいチームとの試合なのですから。
フィンランドには、リトマネンという素晴らしい選手がいましたが、今回は怪我で代表入りしていないそうです。リトマネンが中心選手として活躍していた頃のフィンランドがヨーロッパ選手権で戦っていた試合をVDで観たことがありますが、凄いチームでした。決して上手くはないが、身体を張った激しいデフェンスと、切り替えの早いカウンターアタックが特徴の、なかなかに手強いチームでした。
多分、本気モードで試合をしたら、今の日本代表では勝つことは厳しいはずです。まあ、選手たちも分かっているはずです。しかし、あのような親善試合でW杯に望ませる日本サッカー協会のお間抜けさは相変わらずですねえ。どうせなら、ピョンヤンで北朝鮮と親善試合でもやったほうが、よっぽど緊張感のある試合になったでしょうね。
ちょっと小耳に挟んだ嫌な話。
建設業を営む顧客のもとへ、ある弁護士事務所から封書が届きました。顧客のお得意様である某不動産会社が民事再生法の手続きをとることを告げるものでした。それが昨年の秋のことです。
普通ですと、その後裁判所から連絡があり、事務的な手続きが始まるはずなのですが、年が明けた今になっても、なんの音沙汰がありません。もうすぐ決算なので、引当金計上の問題もあり、弁護士事務所へ経過を尋ねると、現在手続き中との返事。おい、もう半年近いゾ!
先日、ある弁護士さんと雑談中、この話をふると、その方曰く。よく広告などを出して格安の値段で破産や債務整理などを謳っている弁護士事務所では、しばしばこの手の話があるそうです。やはり大量の仕事を請けているので、作業が滞り勝ちになりやすく、必然的に時間がかかる、かかり過ぎる。
嫌な話です。我々税理士業界でも、時折格安の報酬で申告や会計業務を請け負う話は耳にしますが、やはり、その仕事の質は低く、トラブルも少なくないそうです。どうやら、法曹の世界でも似たような状況になっているようです。
姉歯建築士の報道があった時にも思ったのですが、いくら安いといっても限度がある。無理な値段設定をすれば、数をこなさなければ採算がとれるはずもない。仕事の質が低下するのも当然なのです。安かろう、悪かろうで納得済みの場合もあるでしょうが、やはり安すぎる仕事には、低レベルの内容にならざる得ない。価格破壊も考え物ですね。