
牛は不思議だ。7月の最終日、中間検査に備えて牛を囲い罠の中に誘導することにした。小入笠の山頂近くにいた群れを下まで誘導するのは上手くいったが、その先がいけない。囲い罠の狭いゲートに怖気て、なかなか中に入ろうとしないのだ。そのうちに57番が入ると、ズルズルと何頭かが続いた。数えてみると7頭で、罠の中と外でちょうど半々に分かれたことになる。
しばらく残りの誘導を試みたが諦めた。うまくいけば夜間に入るかも知れないと、ゲートは開放しておくことにして、なお様子を見ることにした。囲い罠に入った牛たちは塩を舐めたり、水を飲み、草を食んでいる。驚いたことに、その中に62番が入っている。この牛は他の2頭と後から遅れて入牧したうちの1頭で、最初は群れに加わろうとせず、近づけば全力で逃げ出すような牛だった。それが、一緒に入牧した他の2頭の牛が嫌う罠の中に入っている。
そのうちにどういうきっかけでなのか、折角誘導に成功した牛たちは、夕暮れとともに外の仲間を追いかけるようにして、罠の外にでていってしまった。
それから2日して昨日の朝来てみると、囲い罠の中にまた牛が入っている。今度も7頭、同じメンバーのようだ。そして金網越しに、中に入れない牛がいる。誘導してみたが、その場から何としても離れようとしない。たとえ間に金網の柵があっても、牛たちは一つの群れでいたいようなのだ。しかし、このような分散の仕方を許してしまうと、再度ひと群れにすることが大変厄介なことになる。試案の果て、昨夜は一度閉じたゲートを開けて、罠の中の牛が外へ出られるようにしておいた。
そして今朝、罠の中の牛は外に出ようともせず、その一方で、昨日一日中場所を移そうとしなかった金網の外にいた牛は、姿を消してしまっている。2つの群れの間でどんなやりとりがあったのだろうか。夕方になって、罠の外の牛が水を飲みに来たときに、もう一度誘導してみるしかない。ただし、強制はなるべくならしたくない。ひとたび逃げ方を覚えてしまうと、今度は人手を得てもどうにもならなくなることがあるからだ。
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