オリオン星雲(再録) Photo by かんと氏
昨日はある本を種に少しだけ、北米大陸の北方に暮らす人々のことや、彼らを支える豊かな湖や森のことに触れてみた。そのあと、ちょっと懐かしくなってパラパラとページをめくっていたら、鉛筆で丸く囲んだ箇所が目に付いた。
記憶というものは、いい加減なものだ。そこには、原住民の人肉を食べるという衝撃的な話が書かれていたのに、そのことをすっかり忘れてしまっていたのだ。
この本の舞台はカナダの北緯60度から70度の未開の地だが、食べ物が手に入らず空腹のあまり、身に着けている革製品や靴まで食べる話とともに、仲間を食べてしまう話が登場する。南方系インディアンとあるが、いよいよ飢えが限界を超えると、だれが餌食にされてしまうか分からないという怖ろしい話で、しかもそれは、それほど珍しいことではないとある。
再び同じ土地に来る確証もなければ、幸運に任せて必要以上に獲れるだけ鹿を捕獲し、余った肉は平気で捨ててしまうかと思えば、極度な飢えに際しては、いよいよとなれば仲間を殺してその肉さえも食べたのだ。イヌイットの部族を大切にする面や、広大な大地を移動していくカリブーの群れのイメージが、こうした当時の過酷な状況を忘れさせ、目をそらせてしまったようだ。
と言って、彼ら先住民だけを野蛮視するのはいかがなものだろう。極北の探検の歴史の中には、白人とて同じことをした人たちがいた。もっとも彼らは死肉を食べたのであって、殺人までしたわけではない。ただ当時の極地の探検は、それほどに苛烈を極めたのだろう。1845年129名もの隊員を2隻の船に乗せ、一路北西航路を目指した大英帝国のフランクリン隊のことだが、彼らは一名たりとも生還できなかった。その後の幾度もの捜索により、その事実が報告された。
今日近くの城跡へ行ってみたら、小雨まじりの中こんな花が咲いていた。口直しになりますか。
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