ついにと言うべきか、例年より約10日ほど遅い初雪が昨夜、入笠山の山頂を白くした。その周囲も湿った雪に見舞われた。第4牧区のC放牧地や権兵衛山の北斜面は、午後になっても雪が残り、上空はどんよりとした灰色の雪雲が居座ったままだ。
今朝、焼き合わせを過ぎて、ふと、左手の落葉松の森の上部に白いものを目にしたとき、それが今年の初雪だとすぐ分からず、若干の間が要った。この時期だといつ降ってもおかしくないし、昨夜の雨が雪になることもまったく予想しなかったわけではなかったにもかかわらず、幾分だが動揺した。
雪が降れば、早晩鹿は里の方に下ってしまう。それでも今朝は、例の誘引用の餌場の近くで2群、8頭を確認した。明日の天気予報は雪となっている。里の予報がそうであれば、1千メートルくらい標高の高いここは間違いなく雪だろう。
昨冬の大雪では、大分鹿がその影響を受け死んだと聞いた。もう、残っていた放牧地のわずかな緑も消える。鹿は越冬を思案するころだろう。
秋から初冬にかけて、今年はずうと穏やかな天気が続いた。晴れてもよく、曇ってもよく、季節の退行に合わせて森や周囲はゆっくりと色彩を失う中、その分だけ静かな味わいは深まった。枯葉を散らすしめやかな雨にも、深い情趣を充分に味わうことができた。そろそろ、もういいだろう。充分に尽くしてくれた季節に感謝と別れを告げて、冬に向かう覚悟を決めた。
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