風雨ともかなり激しい。来る時途中で道路を塞いでいた倒木を1本片付けてきた。こんな天気でも、雨が小止みになるとカッコーの声がする。その律義な鳥の声を聞きながら、これから牛のご機嫌伺いに行ってくる。
たった100メートル上がっただけでさらに風は強まり霧は深かった。2群に割れた牛の確認に手間取り、第1牧区のほぼ全域を歩いた。
昨日の続き、と言うほどでもないが、その後も、ともかく落石を出さないよう、転倒などしないように歩いた。相変わらず踏み跡の途絶えた枯れ沢の先などに、まるで手招きでもするように人の踏み跡が呼んでいた。昔から急な斜面で畑作業をしてきた南信州下栗の里の人たちの苦労を想像してみたり、はたまた紅灯の巷で妖しき色香に招き寄せられる男の心境にも似ているのかなどと、場違いな妄想まで頭を掠めた。どちらも体験したことはない。
あれは果たして登山道だったのだろうか。ほぼ予想通り、夫婦岩(男岩)の10メートルばかり上部に出た。その辺りから踏み跡もはっきりしてきて、やがて下から上がってきた牧柵にぶつかり、それを超えた。これは想定通りだった。地図上からも判断できたし、この仕事を始めた最初の年の秋、公称305ヘクタールと言われる入笠牧場の全牧区を歩いた際にすでに通ている。その時、何故踏み跡が牧区内に入っているか疑問に思ったものだ。この牧柵は、それまで歩いてきた登山道らしき踏み跡のさらに上部を並行するように続き、権兵衛山の山頂を超えて仏平へと下っている。
下りかけてすぐ、林業用の作業道に出た。そこで、それ以上は意味ないとして、踏み跡追跡を打ち切った。
今地図を横にして、昨日のことをあれこれ思い出していると、古道ならなおさらだが、廃れた登山道でも、訪(尋)ね歩いたらなかなか面白いものだということが分かった。1千920メートルの頂を通っているはずの幻の登山道を、近いうちに別の登路を使って再調査するつもりでいる。「石堂越え」の何かが分かるかも知れない。
赤羽さん、参考になります。明日できたら、北沢長衛や栄養学でも物語ります。MRIさん、予約多謝、待ってます。
ボツボツ予約が入り始めました。お早めに。FAXでも予約や問い合わせに対応できるようになりました。ご利用ください。 入笠牧場の営業案内は「入笠牧場の山小屋&キャンプ場(1)」
「同(2)」をご覧ください。