知る人はもうあまりいないが、この奥に「雷電様」の祠がある。安永の4年と読める。1770年代に芝平の人々が建てたもので、雨乞いが行われた場所だと伝えられている。ここも牛の好む場所のひとつだが、適度な日陰と風の通りが良いということだろうか。
きょうも単独がお気に入りらしい7番は、御所平の昨日とあまり離れていない場所にいた。そこから100メートルくらい離れた湿地に別に2頭がいたが、どちらの側も無視を決めて、関心を示さない。
一度上部の放牧地に戻り、それからさらに下って、沢で隔てられた北側の「舞台」に行ってみた。未確認の残り9頭の姿がそこにいるかと思ったからだが、いなかった。もう入牧から5日目、あの牛たちもそろそろ水場となる沢を見付けただろうと思っていたが、どうしたことか。仕方なく森の中に入っていたら、9頭がまとまっていた。そこでも水は飲める。安心した。
それにしてもあの牛たち、まだ牧区内を偵察中なのかも知れないが、広い草地でなく、変な場所にばかりいたがる。
ここにもクリンソウがあちこちに咲いている。湿地帯やそこから流れ出す水のお蔭だ。これだけの水源があれば、その昔ここらに潜伏していたと言われる鎌倉幕府滅亡後の残党たちの暮らしも、充分に支えたことだろう。
通信、ありがとうございました。かつてはこの牧場内の道路を、たくさんの牛が闊歩したもので、事情を知らない人からは「牛が脱柵している」などと連絡を受けたこともありました。わずか5,6年前のことです。暑い夏の日、牛たちの落とし物を道路から除去するために流した汗も、今では懐かしいくらいです。通信を頂戴するのは、楽しみです。
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