入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

     ’23年「冬」(26)

2023年02月03日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 風が吹いた、花が咲いた、星がきれいだ・・・、そういうことを呟いていれば問題ないのに、つい時には知ったかぶりをしてしまう。あまりいい加減なことばかり言うわけにはいかないから再確認することもあり、これにはかなり手がかかるし、間違いも起きやすい。だから下手な風景描写で済ませていればいいと思うし、それがこの独り言を続ける秘訣と知りつつも、気紛れが起きる。
 
 無難なのは、こんな呟きを止めてしまえばいいのだと分かってはいる。しかし、そうなるとこの冬ごもりの日々、それこそ安易極まりのない生活は今以上にひどくなりそうで、それを案じてしまう。何しろ、嫌なこと、面倒なことは極力避け、気の向くことしかやらない。予定は極力立てないと決めている。
 それが今の生活で、例えば、取扱説明書を読むのは民放の面白くもないCMを見る以上に苦痛で、いまだに炊飯器や他の電気器具の正しい扱い方を知らない。だから前にも呟いたように、PCや携帯電話ときたら、100㍍四方の土地にたった3.3平方㍍の野菜畑があるだけで、他は雑草ばかりという有様。ただし、それでも間に合っている。
 
 最近ではこの呟きも、キイボードを見なければ打てなくなってしまったが、指を動かすのは痴呆症予防には効果があるやに聞いている。独居老人が近所を徘徊するようになったら、世間に迷惑をかけてしまう。いつのころからか両手の中指が変形しかけているが、それを承知で、いろいろな理屈をくっつけてこの独り言を続けている。肝心の入笠も、牧場も、里に暮らす今は遠くなるばかりだ。

 昨日は風も強く寒かった。久々に"友情耽溺"の後、何となく、そのまま夜を迎え一日を終えてしまうのが惜しいような気がして、迷った末に散歩に出た。
 開田に出ると、いぶし銀の空を背にした仙丈岳の雄姿が迫り、自然と気合が入る。冬枯れの風景に大きな変化はなくも、いつもの解放感が感じられて、それだけでも満足できる。
 
 この畑中の道や、その先の隣の集落でも、人と顔を会わせることはまずない。いつものように先に待っている幾つかの場所を頭に浮かべながら歩くのだが、気が付くと、その地点に着いてしまっている。
 以前にも、まるで人生のようだと呟いたが、昨日もそんなことを感じながら、北風を向かい風にして進み、峠の先を少し行ってから長い下り坂を西にむかって歩く。下りきってそこから南に畑中の道を帰ってくるが、その辺りでもまた仙丈岳が見えたりして、気が和む。

 きょうの写真は天竜川の堤防から撮った。もうここまで来れば、10分くらいで家に着く。わが集落はこの左手に在り写っていない。山は西駒ケ岳(木曽駒ケ岳)。
 この後30分ほど座り、風呂に入り、散歩の途中で考えていた献立でささやかに飲む。何からも赦されたような気がして満足し、感謝した。

 本日はこの辺で。
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